variar は「別のものへの交換」ではなく「状態の変動・多様化」
スペイン語の動詞 variar は、日本語で「変わる」「変える」と訳されるため、同様の意味を持つ cambiar と混同されがちです。しかし、これら二つの動詞が持つニュアンスは異なります。
グアテマラの語学学校で variar を習った際、例え話で先生にこんな質問をしました。「食堂で注文した料理を別のものに変更してもらおうと、”Quiero variar…” と言うことは自然な使い方なのか?」
先生からは「別の料理に丸ごと交換するなら cambiar を使うのが自然。variar だと、料理そのものを変えるのではなく、付け合わせを少し変更してバリエーションを出すみたいなニュアンスなどになる」と教わりました。
このように、variar は「別のものへ単純に置き換える」というより、ある枠組みを維持したまま「状態が変動する」「内容に多様性を持たせる」といった場面でよく使われる動詞です。この記事では、基本となる全活用の網羅に加え、論理的なニュアンスの解説と実践的な例文を紹介します。
スペイン語の動詞 variar の活用
variar は直説法現在形や接続法現在形などで、語幹の i にアクセント記号(ティルデ)が付く箇所があります。不規則な変化に見えるかもしれませんが、これは母音の組み合わせによる発音上の規則に基づく ar 動詞の変化パターンに準じています。
辞書的な役割として参照できるよう、すべての時制の活用表を以下に網羅します。
分詞(現在分詞・過去分詞)
| 種類 | 活用 |
|---|---|
| 現在分詞 | variando |
| 過去分詞 | variado |
直説法
現在形
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | varío |
| tú(vos) | tú: varías vos: variás |
| él / ella / usted | varía |
| nosotros / nosotras | variamos |
| vosotros / vosotras | variáis |
| ellos / ellas / ustedes | varían |
点過去形
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | varié |
| tú | variaste |
| él / ella / usted | varió |
| nosotros / nosotras | variamos |
| vosotros / vosotras | variasteis |
| ellos / ellas / ustedes | variaron |
線過去形
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | variaba |
| tú | variabas |
| él / ella / usted | variaba |
| nosotros / nosotras | variábamos |
| vosotros / vosotras | variabais |
| ellos / ellas / ustedes | variaban |
未来形
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | variaré |
| tú | variarás |
| él / ella / usted | variará |
| nosotros / nosotras | variaremos |
| vosotros / vosotras | variaréis |
| ellos / ellas / ustedes | variarán |
可能法(過去未来)
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | variaría |
| tú | variarías |
| él / ella / usted | variaría |
| nosotros / nosotras | variaríamos |
| vosotros / vosotras | variaríais |
| ellos / ellas / ustedes | variarían |
命令法
肯定命令
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| tú(vos) | tú: varía vos: variá |
| él / ella / usted | varíe |
| nosotros / nosotras | variemos |
| vosotros / vosotras | variad |
| ellos / ellas / ustedes | varíen |
否定命令
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| tú(vos) | tú: no varíes vos: no variés |
| él / ella / usted | no varíe |
| nosotros / nosotras | no variemos |
| vosotros / vosotras | no variéis |
| ellos / ellas / ustedes | no varíen |
接続法
現在形
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | varíe |
| tú(vos) | tú: varíes vos: variés |
| él / ella / usted | varíe |
| nosotros / nosotras | variemos |
| vosotros / vosotras | variéis |
| ellos / ellas / ustedes | varíen |
過去形(ra形)
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | variara |
| tú | variaras |
| él / ella / usted | variara |
| nosotros / nosotras | variáramos |
| vosotros / vosotras | variarais |
| ellos / ellas / ustedes | variaran |
variar のコアイメージ(学習のヒント)
動詞の訳語を個別に暗記する前に、理解を助けるためのコアイメージを把握することが有効です
variar のコアイメージは「一定の枠組みや基準の中で、数値・状態・種類が上下に変動する、または多様に分かれる」というものです。これは市場における価格の変動や、日々の天気の移り変わり、あるいは食事のメニューにバリエーションを持たせるなど、日常の身近な現象に当てはまります。
基本的には別の対象へ移行するのではないため、ベースとなる対象を維持したまま、その内実を揺らがせるという性質を持っています。

variarは「振り幅」や「多様性」のイメージを持つと分かりやすいよ。ガソリンの価格が毎日変動したり、天気が変わったりする時に使われるんだ。

なるほど、変化の幅がある感じですね!じゃあ、このイメージさえ覚えておけば、どんな文章でもすべて日本語に直訳できますか?

コアイメージはあくまで文脈に応じた具体的な訳し分けを覚えるための「手がかり」なんだ。主語自体が変化するのか、目的語に変化を加えるのかで日本語の表現も変わるし、別のものに交換する場合は cambiar を使うことが多いという違いもあるから、例文を通して具体的な使い方を覚えていくといいよ。
variar の基本的な意味と使い方
variar は、主語自体が変化する「自動詞」としての用法と、目的語に対して変化を加える「他動詞」としての用法に大別されます。コアイメージである「変動・多様化」が文脈でどう使われるかを確認します。
1. 変動する、異なる
事物の状態、数値、性質などが一定ではなく、条件や時間によって揺れ動く、あるいは対象ごとに差異があることを表す自動詞の用法です。ラテンアメリカでの日常生活において、価格や気候の説明などで使われます。
El clima en Guatemala varía mucho dependiendo de la altitud.
直訳:グアテマラの気候は標高に依存して大きく変動する。
意訳:グアテマラの気候は標高によって大きく変動します。
Los precios varían de un mercado a otro.
直訳:それらの価格は一つの市場から別の市場へと変動する。
意訳:価格は市場によって異なります。
Mi horario de trabajo varía cada semana.
直訳:私の仕事の時間割は毎週変動する。
意訳:私の勤務時間は毎週変わります。
2. 変化をつける、多様にする
同一のパターンに終始するのではなく、意識的にバリエーションを持たせる、あるいは内容を多彩にすることを表す他動詞の用法です。目的語を伴います。
Tienes que variar tu dieta para estar sano.
直訳:君は健康であるために君の食事に変化をつけなければならない。
意訳:健康のために食生活に変化をつけなければなりません。
El profesor varía las actividades en clase.
直訳:その教授はクラス内のそれらの活動を多様にする。
意訳:先生は授業のアクティビティに多様性を持たせます。
Trato de variar los temas de conversación con ella.
直訳:私は彼女との会話のテーマに変化をつけることを試みる。
意訳:彼女との会話のテーマを変えるよう努めています。
variar を使った熟語・慣用句
特定の表現が定型句として固定化され、日常会話で独自のニュアンスを持つ場合があります。variar を含む代表的なイディオムを解説します。
para variar
前置詞 para を伴う para variar は、文字通りには「変化をつけるために」という意味になりますが、実際の日常会話では、逆説的な皮肉を込めて「いつも通り」「相変わらず」という意味で使われる場合もあります。期待を裏切らないネガティブな状況に対して、あきれたニュアンスを添える機能を持っています。
Para variar, el bus llegó tarde.
直訳:変化をつけるために、そのバスは遅れて到着した。
意訳:相変わらず、バスは遅れて到着した。
Hoy también está lloviendo, para variar.
直訳:今日もまた雨が降っている、変化をつけるために。
意訳:いつも通り、今日も雨が降っている。
Olvidé la llave en casa, para variar.
直訳:私は変化をつけるために、家に鍵を忘れた。
意訳:相変わらず、家に鍵を忘れてしまった。
類義語 cambiar との違い・使い分け
学習者が混同しやすい動詞 cambiar との違いについて比較します。
- cambiar は「代替・交換」のイメージ。ある対象を別の対象へと置き換える行為などを指すことが多いです。例えば、乗車する電車を別の路線に変える、古い通貨を新しい通貨に両替する、といった場面では cambiar が適しています。
- variar は「変様・多様化」のイメージ。対象の存在そのものは維持したまま、その内実の数値や構成要素に揺らぎを持たせる、あるいは選択肢を増やすといった場面で使われます。勤務時間が変わる場合、仕事自体を辞めて別の仕事にするのではなく、同じ仕事の枠内で時間帯が変動するため variar が適しています。
料理の場面で例えると、メニュー自体を別皿に差し替える行為は cambiar となり、同一の料理の中で味付けや具材に変化を持たせる行為は variar と表現されます。
まとめ
スペイン語の動詞 variar の特徴を以下にまとめます。
- 活用は ar 動詞の規則パターンに準ずるが、現在形などで語幹の i にアクセント記号(ティルデ)を必要とする箇所がある。
- コアイメージは「一定の枠組み内での状態の変動・多様化」であり、価格や天気の変動、内容にバリエーションを出す際に用いられる。
- 別のものへ置き換える cambiar とはニュアンスが異なり、枠組みの維持(variar)か交換(cambiar)かで使い分けられることが多い。
- 熟語 para variar は、口語において「相変わらず」「いつも通り」という皮肉を込めた表現としてよく使用される。


