スペイン語の動詞 saber は、「知っている」「わかる」という意味を持つ基本動詞です。日常会話で頻繁に使用されますが、活用が不規則であり、文脈によって意味が変化するため注意が必要です。
saber の活用は直説法現在形、直説法点過去形、直説法未来形、可能法(過去未来)、命令法、接続法現在形、接続法過去形で不規則変化をします。
この記事では、saber の全活用表に加え、類似動詞 conocer との違い、過去形で意味が変わる重要なニュアンス、そしてネイティブがよく使う熟語表現まで網羅して解説します。
スペイン語の動詞 saber の活用
saber は不規則変化が多い動詞です。特に現在形(1人称単数)、点過去形、未来形などは頻出ですので、優先して覚える必要があります。
saber の分詞(現在分詞・過去分詞)
現在分詞、過去分詞ともに規則変化です。
| 種類 | 活用 |
|---|---|
| 現在分詞 | sabiendo |
| 過去分詞 | sabido |
saber の直説法現在形の活用
1人称単数(yo)のみ不規則変化をします。「Sabo」とはならず「Sé」となる点に注意してください。アクセント記号がつきます。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | sé |
| tú / vos | sabes / sabés |
| él / ella / usted | sabe |
| nosotros / nosotras | sabemos |
| vosotros / vosotras | sabéis |
| ellos / ellas / ustedes | saben |
saber の直説法点過去形の活用
語幹が sup- に変化する完全不規則活用です。アクセント記号はつきません。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | supe |
| tú | supiste |
| él / ella / usted | supo |
| nosotros / nosotras | supimos |
| vosotros / vosotras | supisteis |
| ellos / ellas / ustedes | supieron |
saber の直説法線過去形の活用
er動詞の規則活用です。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | sabía |
| tú | sabías |
| él / ella / usted | sabía |
| nosotros / nosotras | sabíamos |
| vosotros / vosotras | sabíais |
| ellos / ellas / ustedes | sabían |
saber の直説法未来形の活用
語根が sabr- となり、e が脱落する不規則活用です。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | sabré |
| tú | sabrás |
| él / ella / usted | sabrá |
| nosotros / nosotras | sabremos |
| vosotros / vosotras | sabréis |
| ellos / ellas / ustedes | sabrán |
saber の可能法(過去未来)の活用
未来形と同様に、語根が sabr- となる不規則活用です。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | sabría |
| tú | sabrías |
| él / ella / usted | sabría |
| nosotros / nosotras | sabríamos |
| vosotros / vosotras | sabríais |
| ellos / ellas / ustedes | sabrían |
saber の命令法の活用
肯定命令の tú、vos、vosotros 以外は、接続法現在形の活用を流用します。
| 主語 | 肯定命令 | 否定命令 |
|---|---|---|
| tú | sabe | no sepas |
| vos | sabé | no sepás |
| usted | sepa | no sepa |
| nosotros | sepamos | no sepamos |
| vosotros | sabed | no sepáis |
| ustedes | sepan | no sepan |
saber の接続法現在形の活用
語幹が sep- に変化する不規則活用です。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | sepa |
| tú / vos | sepas / sepás |
| él / ella / usted | sepa |
| nosotros / nosotras | sepamos |
| vosotros / vosotras | sepáis |
| ellos / ellas / ustedes | sepan |
saber の接続法過去形(ra形)の活用
直説法点過去形(supieron)をベースにした不規則活用です。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | supiera |
| tú | supieras |
| él / ella / usted | supiera |
| nosotros / nosotras | supiéramos |
| vosotros / vosotras | supierais |
| ellos / ellas / ustedes | supieran |
saber の基本的な意味と使い方
知識や情報として「知っている」(vs conocer)
saber の「知っている」は、学習や伝聞によって得た「知識・情報・事実」を指します。一方、conocer は人や場所に対する「面識・体験」を指します。
| 動詞 | 対象 | ニュアンス |
|---|---|---|
| saber | 事実、情報、知識、技能 | 知識として頭に入っている |
| conocer | 人、場所、作品 | 会ったことがある、行ったことがある |
例文:
¿Sabes la dirección de la oficina?
直訳:オフィスの住所を知っていますか?
意訳:オフィスの住所を知ってる?(情報の有無)
Sé que a ella le gustan las rosas.
直訳:彼女がバラを好むということを私は知っています。
意訳:彼女がバラ好きなのは知ってるよ。(事実の認識)
※以下のように、人や場所に対して saber を使うことはできません。
× Sé a María. (マリアという情報を知っている、とは言わない)
○ Conozco a María. (マリアと知り合いだ)
技能として「~できる」(+不定詞)
saber + 不定詞(動詞の原形)で、「~するやり方を知っている」すなわち「(学習・習得して)~できる」という意味になります。
単なる可能性を表す poder(〜しうる)とは異なり、スキルや能力を持っていることを強調します。
Ellos saben tocar la guitarra.
直訳:彼らはギターを弾く方法を知っている。
意訳:彼らはギターが弾ける。
No sé nadar.
直訳:私は泳ぐ方法を知らない。
意訳:私は泳げない(泳ぎ方を習得していない)。
「~の味がする」(saber a ~)
saber + 前置詞 a で「〜の味がする」という意味になります。
Este chocolate sabe a fresa.
直訳:このチョコレートはイチゴの味がする。
意訳:このチョコ、イチゴ味だね。
¿A qué sabe esto?
直訳:これは何の味がしますか?
意訳:これどんな味?
【重要】過去形における意味の変化(Sabía vs Supe)
saber は過去形において、点過去(supe)か線過去(sabía)かによって日本語訳のニュアンスが大きく異なります。学習者が最もつまずきやすいポイントですので、明確に区別してください。
線過去 Sabía「(すでに)知っていた」
線過去(sabía)は、過去のある時点において「すでに知識として持っていた(継続的な状態)」を表します。
Yo ya sabía la verdad.
直訳:私はすでに真実を知っていた。
意訳:本当のことはもう知っていたよ。(以前から知っていた)
点過去 Supe「(その時)知った/わかった」
点過去(supe)は、過去のある一瞬に「知識を得た(行為の完了)」を表します。つまり、「知るようになった」=「わかった」「判明した」「知った」と訳すのが適切です。
Ayer supe la verdad.
直訳:昨日、私は真実を知った。
意訳:昨日、本当のことがわかった。(その時初めて知った)
Al final nunca supe por qué se fue.
直訳:最後には、なぜ彼が行ってしまったのかを知ることは一度もなかった。
意訳:結局、彼が去った理由はわからずじまいだった。
ネイティブが使う saber の熟語・慣用句
ラテンアメリカやスペインの日常会話で頻出する、saber を使った表現を紹介します。
¡A saber! / ¡Quién sabe!
「さあね」「誰にもわからないよ」という意味で、答えがわからない時や、答えたくない時に使います。
― ¿Cuándo viene Juan?
― ¡A saber!
直訳:フアンはいつ来るの? ― 知るへきことだ!
意訳:― フアンいつ来るの? ― さあね!(誰にもわからんよ)
¡Sepa la bola!
主にメキシコで使われる表現で、「誰も知らない」「神のみぞ知る」という意味です。bola(集団・群衆)に責任を転嫁するニュアンスから来ており、「私の知ったことではない」という響きを含みます。
¡Sepa la bola!
直訳:その集団が知っているだろう!
意訳:知るかよ!/誰も知らないよ!
Un no sé qué
直訳すると「私が何を知らない(何か)」となり、言葉では表現しにくい魅力や特徴を指して「言葉にできない何か」「なんとも言えない魅力」という意味で使います。
Ella tiene un no sé qué que me encanta.
直訳:彼女は私が大好きになる「私が知らない何か」を持っている。
意訳:彼女には言葉にできない不思議な魅力がある。
まとめ
動詞 saber は単に「知っている」という意味だけでなく、時制や文脈によって「できる」「味がする」「(その時)わかった」など多様な意味を持ちます。
- 活用:現在形の sé、点過去の supe、未来形の sabré などの不規則変化を抑える。
- Conocerとの違い:情報は Saber、体験・面識は Conocer。
- 過去形の使い分け:「前から知っていた」なら Sabía、「その時わかった」なら Supe。
これらの違いを意識することで、より正確で自然なスペイン語表現が可能になります。

