スペイン語の冠詞(定冠詞・不定冠詞・無冠詞)の使い方とルール

スペイン語の冠詞(定冠詞・不定冠詞・無冠詞)の使い方とルール スペイン語の文法

どちらかというとラテンアメリカのスペイン語です。日本語訳は直訳寄りです。文法や単語の意味を理解するため、自然な日本語とは異なる場合があります。初級者による記録のため誤解があるかもしれません。ご理解くださいませ。

スペイン語の冠詞には、定冠詞(el, la, los, las, lo)と不定冠詞(un, una, unos, unas)があります。

基本的に名詞の前には冠詞がつきますが、例外的に冠詞を使わない「無冠詞」のケースもあります。

この記事では、冠詞の基本的な仕組み、定冠詞と不定冠詞の違い、そして学習者が特につまずきやすい無冠詞の用法について解説します。

冠詞とは?

冠詞とは、名詞の前に置かれ、その名詞が話し手と聞き手にとって「既知のもの」か「未知のもの」かを示す語です。スペイン語では名詞に「性(男性・女性)」と「数(単数・複数)」があり、冠詞もそれに合わせます。

不定冠詞(un, una, unos, unas)

単数複数
男性ununos
女性unaunas

不定冠詞は、聞き手にとって未知のものを初めて話題にするときに使います。

日本語では「ある〜」「ひとつの〜」「いくつかの〜」などに相当しますが、逐語的に訳さずイメージで理解するのがおすすめです。

Compré un libro.
私は本を一冊買った → どんな本かは特定されていない

En aquella tienda trabaja una amiga mía.
あのお店で私の女友達が一人働いている → 聞き手はその人物を知らない

定冠詞(el, la, los, las, lo)

単数複数
男性ellos
女性lalas
中性lo

定冠詞は、聞き手と話し手が特定できる名詞を指すときに使います。

Compré el libro que mi profesor me había recomendado.
先生が勧めてくれた、その本を買った

El libro que compré ayer me interesa mucho.
昨日買ったその本はとても面白い

特殊な用法として、中性定冠詞「lo」もあります。詳しくはこちらをご覧ください。
スペイン語の中性定冠詞 lo の使いかた | スペイン語の勉強ブログ

女性名詞に男性冠詞が使われる場合

アクセントのある「a」「ha」で始まる女性名詞は、単数形では男性形の冠詞を使います。

単数複数
agua(水)el agualas aguas
águila(鷲)el águilalas águilas
área(地域)el árealas áreas

ただし形容詞は女性形を使います。
el agua fría(冷たい水)、un águila hermosa(美しい鷲)

無冠詞の使い方

「冠詞がつかない」ケースは大きく次のように整理できます。

  • 不可算名詞で、特定されていない場合 → 冠詞を使わない
    Tengo dinero.(お金を持っている)
  • 可算名詞で「所有の有無」や一般的な事実を述べる場合 → 無冠詞も可
    ¿Tienes teléfono móvil?(携帯持ってる?)
  • 職業・国籍・宗教を表す名詞が述語になる場合
    Soy profesor.(私は教師です)、Ella es japonesa.(彼女は日本人です)
  • 慣用表現 → 冠詞を使わない
    a casa(家へ)、en clase(授業中に)、con cuidado(注意して)

不可算名詞とは?

不可算名詞とは、数えて「1つ、2つ」とすることができない名詞のことです。英語の文法でも出てくる用語です。

代表的な不可算名詞には次のようなものがあります。

  • 物質名詞:agua(水)、vino(ワイン)、aceite(油)、dinero(お金)
  • 抽象名詞:amor(愛)、esperanza(希望)、música(音楽)

これらは「1つの愛」「2つの水」とは数えないので、冠詞をつけずに使うことが多いです。

ただし、「種類」や「特定のもの」を指すときには冠詞がつく点に注意が必要です。
El agua de esta botella está fría.(このボトルの水は冷たい)

不定冠詞と無冠詞の使い分け

スペイン語では、特に可算名詞(数えられる名詞)の場合に「不定冠詞」と「無冠詞」のどちらも使えることがあります。ただしニュアンスが異なるので、使い分けのポイントを押さえておきましょう。

単数の可算名詞

無冠詞は「所有の有無」や「存在」をシンプルに述べる場合に使われます。

不定冠詞は「あるひとつの具体的な〜」と話を広げられる場合に使います。

  • Tengo carro.(車を持っている → 単に車という物を所有していることを述べるだけ)
  • Tengo un carro.(車を1台持っている → その車について詳しく言及できる)

不定冠詞を使うと、修飾語を加えたり追加情報を述べたりできます。
Tengo un carro muy rápido.(とても速い車を持っている)

複数の可算名詞

複数の場合も同じ考え方ですがニュアンスに違いがあります。

  • Tengo carros.(車を複数台持っている → 数は特定していない、漠然とした複数)
  • Tengo unos carros.(車を数台持っている → 「いくつかの」という限定が加わる)

「unos/unas」は「いくつかの〜」「何人かの〜」と数量をぼんやり限定するニュアンスがあります。

疑問文や否定文

疑問文や否定文では無冠詞が使われることが多いです。

  • ¿Tienes teléfono móvil?(携帯を持っていますか? → 所有の有無を尋ねるだけなので無冠詞)
  • No tengo carro.(車を持っていません → 存在そのものを否定しているので無冠詞)

ただし「具体的に1つある/ない」を強調する場合は不定冠詞を使えます。
No tengo un carro, pero quiero comprar uno.(車を1台もっていないけど、買いたい)

可算名詞と不可算名詞での違い

不可算名詞は基本的に無冠詞で使われます。

  • Tengo dinero.(お金を持っている)
  • ¿Quieres agua?(水が欲しい?)

ただし「特定の〜」「ある種類の〜」を指すときは不定冠詞や定冠詞がつきます。

  • Un vino español.(スペイン産のワイン)
  • El agua de esta botella.(このボトルの水)

使い分けのまとめ

  • 「ある一つの具体的なもの」を示す → 不定冠詞
  • 「存在や所有の有無」を漠然と述べる → 無冠詞
  • 「数量を限定する複数」 → unos/unas
  • 「数えられない名詞(不可算名詞)」 → 基本は無冠詞

まとめ

  • 不定冠詞は「未知のもの」、定冠詞は「既知のもの」を表す
  • 無冠詞は、特に「不可算名詞」や「職業・国籍・宗教名詞」、「慣用表現」でよく使われる
  • 可算名詞は文脈により「不定冠詞」でも「無冠詞」でも使える

冠詞の有無でニュアンスが変わるため、例文をたくさん読んで感覚をつかむのが一番の近道です。

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