はじめに
スペイン語の動詞 notar は、日常会話で「気づく」や「感じる」と訳される非常に便利な動詞です。活用はすべて ar 動詞の規則変化なので、形を覚えるのは難しくありません。
しかし、日本語訳の「気づく」という言葉に引きずられると、思わぬミスをすることがあります。私がかつてグアテマラ・アンティグアの語学学校「アタバル」で学んでいた際、自分の文法ミスを自分で見つけ「Noté mi error(自分の間違いに気づいた)」と言ったところ、先生から即座に修正が入りました。「ヨシオ、自分の頭で考えて納得したなら darse cuenta を使いなさい。notar はもっと五感で『おや?』と察知する時に使うんだよ」と教えられたのです。
この記事では、そんな経験から学んだ「生きた使い分け」と、すべての活用表を網羅して解説します。
スペイン語の動詞 notar の活用
notar はすべて規則変化です。辞書代わりに使用できるよう、すべての時制を網羅しました。
分詞(現在分詞・過去分詞)
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| 現在分詞 | notando |
| 過去分詞 | notado |
直説法
現在形
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | noto |
| tú(vos) | tú: notas vos: notás |
| él / ella / usted | nota |
| nosotros / nosotras | notamos |
| vosotros / vosotras | notáis |
| ellos / ellas / ustedes | notan |
点過去形
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | noté |
| tú | notaste |
| él / ella / usted | notó |
| nosotros / nosotras | notamos |
| vosotros / vosotras | notasteis |
| ellos / ellas / ustedes | notaron |
線過去形
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | notaba |
| tú | notabas |
| él / ella / usted | notaba |
| nosotros / nosotras | notábamos |
| vosotros / vosotras | notabais |
| ellos / ellas / ustedes | notaban |
未来形
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | notaré |
| tú | notarás |
| él / ella / usted | notará |
| nosotros / nosotras | notaremos |
| vosotros / vosotras | notaréis |
| ellos / ellas / ustedes | notarán |
可能法(過去未来)
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | notaría |
| tú | notarías |
| él / ella / usted | notaría |
| nosotros / nosotras | notaríamos |
| vosotros / vosotras | notaríais |
| ellos / ellas / ustedes | notarían |
命令法
肯定命令
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| tú(vos) | tú: nota vos: notá |
| él / ella / usted | note |
| nosotros / nosotras | notemos |
| vosotros / vosotras | notad |
| ellos / ellas / ustedes | noten |
否定命令
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| tú(vos) | tú: no notes vos: no notés |
| él / ella / usted | no note |
| nosotros / nosotras | no notemos |
| vosotros / vosotras | no notéis |
| ellos / ellas / ustedes | no noten |
接続法
現在形
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | note |
| tú(vos) | tú: notes vos: notés |
| él / ella / usted | note |
| nosotros / nosotras | notemos |
| vosotros / vosotras | notéis |
| ellos / ellas / ustedes | noten |
過去形(ra形)
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | notara |
| tú | notaras |
| él / ella / usted | notara |
| nosotros / nosotras | notáramos |
| vosotros / vosotras | notarais |
| ellos / ellas / ustedes | notaran |
notar のコアイメージ(学習のヒント)
たくさんの意味を暗記する前に、この動詞の根っこにある感覚を掴みましょう。notar の核となる実用的なイメージは、「外側からの刺激を、五感で『おや?』とキャッチする(察知する)」です。
たとえば、部屋の温度が変わった、誰かの機嫌が悪そうだ、料理の味がいつもと違う……といった「変化」や「違和感」を、感覚器(目、耳、肌、鼻など)を通じて捉えるイメージです。

なるほど!「五感でキャッチする」っていうイメージを持てば、どんな文脈でもスムーズに訳せる気がするね!

少し待って。このイメージはあくまで正しい理解へ導くための「手がかり」や「道しるべ」なんだ。実際には後ろに来る言葉によって「気づく」や「感じる」など、日本語の訳し方は変わってくるよ。コアイメージを補助線にして、文脈に応じた自然な訳をセットで覚えていこう。
notar の基本的な意味と使い方
気づく・察知する
五感を使って、物理的な変化や異常に気づく場合です。
Noto que el ramen de aquí sabe diferente que antes.
直訳:(私は)ここのラーメンが、以前とは違う味がする、ということに気づく。
意訳:ここのラーメン、昔と味が違う気がする。
¿Notas algo raro en esta habitación?
直訳:(君は)この部屋の中に何か奇妙なものを察知しているか?
意訳:この部屋、何か変だと思わない?(気づかない?)
Noté que ella estaba un poco nerviosa hoy.
直訳:(私は)彼女が今日少し緊張している状態であることを察知した。
意訳:今日、彼女が少し緊張していることに気づいたよ。
感じる
人から発せられる雰囲気や、物事の状態を感じ取る場合です。
Te noto muy cansado últimamente. ¿Estás bien?
直訳:(私は)最近の君をとても疲れている状態で察知している。
意訳:最近、君はすごく疲れているみたいに感じるよ。大丈夫?
Noto un sabor raro en esta sopa.
直訳:(私は)このスープの中に奇妙な味を察知している。
意訳:このスープ、なんだか変な味がする(感じる)。
再帰動詞(se)での意味の変化
notarse という形になると、意味が少し広がります。
notarse:見てとれる、明らかだ
主語の状態が「外側から見て明らかにわかる」というニュアンスで、無人称的に使われることが多いです。
Se nota que has estudiado mucho español.
直訳:君がスペイン語をたくさん勉強したことが(外から)察知される。
意訳:スペイン語をすごく勉強したんだね、成果が出ているよ(見てとれるよ)。
Ese pequeño defecto casi no se nota.
直訳:その小さな欠陥はほとんど察知されない。
意訳:その小さな欠陥はほとんど目立たないよ。
notarse:自分が~であると感じる
自分自身の体調や精神状態を客観的に感じ取る表現です。
Me noto más relajado ahora.
直訳:(私は)今、自分自身をよりリラックスした状態で察知している。
意訳:今は前よりリラックスしている感じがするな。
notar を使った熟語・慣用句
hacerse notar:自分を目立たせる
自分自身を「他人に察知させる」、つまり注目を集める、アピールするという意味です。
Se hizo notar con sus impertinencias en la fiesta.
直訳:(彼は)パーティーでの無作法によって自分自身を察知させた。
意訳:彼はパーティーで無作法な振る舞いをして目立ってしまった。
類義語との使い分け・ニュアンス
notar と darse cuenta の違い
冒頭の失敗談でも触れましたが、ここが一番のポイントです。
- notar: 五感(見る、聞く、味わうなど)で何かを物理的に察知する。受動的な「おや?」という感覚。
- darse cuenta (de): 頭(思考)を使って理解する、悟る。状況を整理して「あ、そうか!」と納得する。
notar と sentir の違い
- sentir: 悲しみや痛みなど、より内面的な感情や、肌に直接触れる肉体的な感覚。
- notar: より客観的で、自分の外側にある「変化」や「状態」を感覚器で捉えるニュアンス。

ちなみに、グアテマラなどラテンアメリカの日常会話では「ほら、見て(気づいた?)」というニュアンスで ¡Fíjate! という言葉をよく耳にします。notar よりもさらに「注目して!」という勢いがある表現ですね。
まとめ
最後に、今回のポイントを整理しましょう。
- notar は ar 動詞の規則変化。まずは基本の形をしっかり覚えましょう。
- コアイメージは「五感で変化をキャッチする」。
- 思考で気づくときは darse cuenta、内側から感じる感情・痛みのときは sentir を選ぶ。
- 「目立っている」と言いたいときは再帰動詞の se nota が便利。
「気づく」という言葉ひとつでも、スペイン語では「どうやって気づいたか(五感か、頭か)」によって動詞を使い分けます。この感覚が身につくと、会話の表現力が大きく向上しますよ。



