スペイン語の線過去(直説法)|全活用パターンとネイティブの「5つの使い方」

直説法線過去の活用と使い方 スペイン語の文法
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どちらかというとラテンアメリカのスペイン語です。初級者による記録のため誤解があるかもしれません。ご理解くださいませ。

スペイン語の過去形において、点過去(完了した出来事)と並んで重要なのが「線過去(直説法線過去 / Pretérito Imperfecto)」です。

線過去は、単に「過去のこと」を話すだけでなく、当時の状況を描写したり、懐かしい思い出を語ったり、あるいは相手に丁寧に依頼をしたりと、非常に多彩な役割を持っています。

この記事では、以下の2点を中心に解説します。

  • 覚えるべき全活用ルール(不規則変化は3つだけ)
  • ネイティブが自然に使う「5つの具体的な使用シーン」

「点過去との違い」については、概念やニュアンスを深く掘り下げた別記事がありますので、使い分けに迷っている方は合わせてご覧ください。
参考 スペイン語「点過去」と「線過去」の違い・使い分けを徹底解説

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【一覧表】線過去の活用ルール(規則・不規則)

朗報です。線過去の活用は、スペイン語の時制の中で「最も覚えるのが簡単」と言われています。

理由は単純で、不規則変化をする動詞がたった3つしかないからです。それ以外はすべて規則通りに変化します。

規則活用(ar動詞 / er・ir動詞)

規則活用は、語尾が「-ar」のグループと、「-er / -ir」のグループの2種類に分かれます。

また、ラテンアメリカ(アルゼンチン、コロンビア、中米など)で使用される二人称単数 vos(ボセオ)の活用は、一般的な と全く同じ形になります。新たに覚える必要はありません。

ar動詞の規則活用(語尾:-aba)

語尾の -ar を取り除き、以下の語尾を付けます。アクセント位置(nosotrosの -ábamos)に注意してください。

主語語尾例:hablar(話す)
yo-abahablaba
tú / vos-abashablabas
él / ella / usted-abahablaba
nosotros / nosotras-ábamoshablábamos
vosotros / vosotras-abaishablabais
ellos / ellas / ustedes-abanhablaban

er / ir動詞の規則活用(語尾:-ía)

er動詞とir動詞の活用語尾は共通です。すべての活用にアクセント記号(í)が付きます。

主語語尾例:comer(食べる)例:vivir(住む)
yo-íacomíavivía
tú / vos-íascomíasvivías
él / ella / usted-íacomíavivía
nosotros / nosotras-íamoscomíamosvivíamos
vosotros / vosotras-íaiscomíaisvivíais
ellos / ellas / ustedes-íancomíanvivían

不規則活用(ser, ir, ver)

不規則変化をするのは以下の3語のみです。使用頻度が非常に高いため、必ず暗記してください。

1. ser(〜です、〜である)

点過去(fui, fuiste…)と異なり、原形のかけらが残らない形に変化します。

yoera
tú / voseras
él / ella / ustedera
nosotros / nosotraséramos
vosotros / vosotraserais
ellos / ellas / ustedeseran

2. ir(行く)

先頭が「i」になります。「b」の発音が入るのが特徴です。

yoiba
tú / vosibas
él / ella / ustediba
nosotros / nosotrasíbamos
vosotros / vosotrasibais
ellos / ellas / ustedesiban

3. ver(見る、会う)

規則活用のようにも見えますが、原形の「e」を残したまま語尾が付くため不規則扱いとなります。

yoveía
tú / vosveías
él / ella / ustedveía
nosotros / nosotrasveíamos
vosotros / vosotrasveíais
ellos / ellas / ustedesveían
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場面で覚える!線過去の具体的な5つの用法

活用を覚えたら、次は「どんな場面で使うか」を理解しましょう。線過去は主に「継続・反復・背景」を表しますが、実際の会話では以下のような5つのパターンで頻出します。

1. 過去の習慣・思い出話(〜していたものだ)

「昔はよく〜した」「子供の頃は〜だった」のように、過去の一定期間において繰り返されていた動作や習慣を表します。

「soler(〜する習慣がある)」という動詞を使わなくても、線過去にするだけで「習慣」のニュアンスが含まれます。

Cuando vivía en Guatemala, comía tortillas todos los días.
直訳:私がグアテマラに住んでいた時、毎日トルティーヤを食べていた。
意訳:グアテマラ在住時は、毎日トルティーヤを食べていました。

Antes yo jugaba mucho al fútbol con mis amigos.
直訳:以前、私は友達とたくさんサッカーをしていた。
意訳:昔はよく友達とサッカーをしたものです。

2. 状況描写・背景説明(〜だった、〜していた)

物語や会話の中で、メインの出来事(点過去)が起こる時の「背景セット」としての役割です。
天候、時間、年齢、人の外見、精神状態、その場の状況などを描写します。

Ayer no salí porque estaba muy cansado.
直訳:昨日は出かけなかった(点過去)。なぜなら、とても疲れていたから(線過去)。
意訳:昨日はすごく疲れていたので、出かけませんでした。

Cuando salí de casa, llovía fuerte.
直訳:家を出たとき(点過去)、激しく雨が降っていた(線過去)。
意訳:家を出ると、どしゃ降りでした。

3. 【重要】記憶の確認・回想(〜だっけ? 〜だったよね)

これは教科書ではあまり強調されませんが、日常会話で非常に重要な用法です。

相手の名前や電話番号、約束の時間など、「過去に一度インプットした情報」を思い出そうとしたり、再確認したりする場合は、現在のことでも線過去を使います。

「(私の記憶の中にある情報は)どういう状態だったかな…」と、過去の記憶にアクセスする感覚です。

Perdón, ¿cómo te llamabas?
直訳:すみません、あなたはどのように呼ばれていましたか?
意訳:すみません、お名前は何でしたっけ?(今の名前を聞いているが、以前聞いた情報を思い出そうとしている)

A ver… ¿A qué hora empezaba la reunión?
直訳:ええと…会議は何時に始まっていましたか?
意訳:えっと…会議って何時からだっけ?

4. 未完了の意図・言い訳(〜するつもりだった)

「ir(線過去 iba)+ a + 不定詞」の形で、「〜するつもりだった(が、実際にはしなかった / できなかった)」という未完了の意図を表します。

遅刻の言い訳や、予定変更の説明などで多用されます。

Te iba a llamar, pero se me acabó la batería.
直訳:君に電話しに行くところだった、でもバッテリーが切れてしまった。
意訳:電話しようと思ってたんだけど、充電が切れちゃって。

Iba a salir, pero empezó a llover.
直訳:出かけに行くところだった、でも雨が降り始めた。
意訳:出かけようとしたら、雨が降ってきちゃった。

5. 丁寧・控えめな表現(〜したいのですが)

お店での注文や、誰かに頼み事をする際、現在形の「Quiero(〜が欲しい)」と言うと、少し直接的で生々しい響きになることがあります。

線過去の「Quería(〜が欲しかった)」を使うことで、事実を過去のことに遠ざけ、「〜したいと思っていたのですが…(いかがでしょうか)」という控えめで丁寧なニュアンスを出すことができます。

Hola, quería pedir una cita, por favor.
直訳:こんにちは、予約をお願いしたかったのですが。
意訳:こんにちは、予約をお願いしたいのですが。

Quería saber el precio de esta camisa.
直訳:このシャツの値段を知りたかったのですが。
意訳:このシャツのお値段を教えていただけますか?

点過去と線過去、迷った時の考え方(簡易版)

最後に、点過去と線過去の使い分けで迷った時のシンプルな指針を紹介します。

  • 点過去(写真):話のストーリーを前に進める「アクション」。完了した事実。
    (例:起きた、食べた、行った、会った)
  • 線過去(動画・絵):その時の状況を説明する「背景描写」。継続・習慣。
    (例:〜という状態だった、〜していた、〜な気分だった)

「昨日、起きて(点)、顔を洗った(点)」
「昨日、起きた時(点)、外は雨だった(線)」

このように、自分の言いたいことが「アクション(点)」なのか「状況説明(線)」なのかを意識するだけで、使い分けの精度は格段に上がります。

より詳しい使い分けのルールや、意味が変わる動詞については、以下の記事で解説しています。

参考 スペイン語「点過去」と「線過去」の違い・使い分けを徹底解説

まとめ

スペイン語の線過去について解説しました。

  • 不規則活用は ser, ir, ver の3つだけ。
  • ラテンアメリカの vos と同じ活用。
  • 「習慣・状況」だけでなく、「回想(〜だっけ?)」「丁寧(〜したいのですが)」にも使える。

線過去は、活用自体は簡単ですが、使いこなせるとスペイン語の表現力がグッと広がる時制です。まずは不規則変化の3つをしっかり覚え、日常会話で「Quería…(〜したいんですが)」と使ってみることから始めてみてください。

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