スペイン語の指示形容詞・指示代名詞「この・その・あの」の使い方

スペイン語の指示形容詞・指示代名詞「この・その・あの」の使い方 スペイン語の文法
記事内に広告が含まれています。

どちらかというとラテンアメリカのスペイン語です。日本語訳は直訳寄りです。文法や単語の意味を理解するため、自然な日本語とは異なる場合があります。初級者による記録のため誤解があるかもしれません。ご理解くださいませ。

スペイン語学習において、日常会話で頻繁に登場するのが「この、その、あの」といった指示語です。

スペイン語では、名詞を修飾する指示形容詞(この~、その~、あの~)と、単独で使われる指示代名詞(これ、それ、あれ)に分類されます。

日本語の「こそあど言葉」と同じような感覚で使えますが、スペイン語には名詞の「性(男性・女性)」と「数(単数・複数)」という概念があるため、指し示す対象によって形を変化させる必要があります。

一見複雑に見える変化形ですが、ルールは非常に論理的です。この記事では、スペイン語の指示形容詞と指示代名詞の使い分け、形、そして学習者がつまずきやすい「中性」について解説します。

スポンサーリンク

スペイン語の指示語一覧と変化のルール

スペイン語の指示語は、話者と対象物との「距離」によって3種類に分けられます。

  • este:話し手に近い(この、これ)
  • ese:聞き手に近い(その、それ)
  • aquel:両者から遠い(あの、あれ)

指示形容詞と指示代名詞の綴りは基本的に同じです。

かつては指示代名詞にアクセント記号(éste, ésaなど)を付けることが義務でしたが、現在のスペイン語アカデミー(RAE)の規定では、文脈上紛らわしい場合を除き、アクセント記号は不要とされています。しかし、古いテキストや文学作品ではアクセント付きで表記されることも多いため、知識として知っておくと良いでしょう。

El adverbio «solo» y los pronombres demostrativos, sin tilde:RAEのウェブサイト

「この・これ」(話し手の近く / este)

性・数指示形容詞
(この~)
指示代名詞
(これ)
男性単数esteeste (éste)
女性単数estaesta (ésta)
男性複数estosestos (éstos)
女性複数estasestas (éstas)
中性なしesto

「その・それ」(聞き手の近く / ese)

性・数指示形容詞
(その~)
指示代名詞
(それ)
男性単数eseese (ése)
女性単数esaesa (ésa)
男性複数esosesos (ésos)
女性複数esasesas (ésas)
中性なしeso

「あの・あれ」(両者から遠い / aquel)

性・数指示形容詞
(あの~)
指示代名詞
(あれ)
男性単数aquelaquel (aquél)
女性単数aquellaaquella (aquélla)
男性複数aquellosaquellos (aquéllos)
女性複数aquellasaquellas (aquéllas)
中性なしaquello

※カッコ内のアクセント付きの綴りは旧来の表記です。

表にある通り、指示形容詞と指示代名詞は、修飾あるいは代用する名詞の性(男性名詞・女性名詞)数(単数形・複数形)に合わせて変化します。

距離と時間による使い分け

日本語の「こ・そ・あ」の使い分けは、物理的な距離および心理的・時間的な距離に基づきますが、スペイン語も同様の感覚で使用できます。

物理的な距離

基本的には以下のように使い分けます。

  • Este / Esta:自分の手の届く範囲、自分の場所(ここ)にあるもの。
  • Ese / Esa:相手の手の届く範囲、相手の場所(そこ)にあるもの。
  • Aquel / Aquella:自分からも相手からも離れた場所(あそこ)にあるもの。

【使用例】

この鉛筆(男性名詞・単数)
este lápiz

それらのテーブル(女性名詞・複数)
esas mesas

あの家(女性名詞・単数)
aquella casa

時間的な距離

物理的な距離だけでなく、時間的な距離感(現在、近い過去・未来、遠い過去)を表す際にも使われます。

例えば、「去年メキシコへ行ってタコスを食べた。あのタコスは美味しかった」と過去の思い出を語るような場面では、遠い過去を表す aquel が適しています。

Fui a México el año pasado y comí tacos. Aquellos tacos estaban ricos.
(去年メキシコへ行って、タコスを食べました。あのタコスは美味しかったなぁ。)

ここで「タコス(tacos)」は男性名詞の複数形であるため、「あのタコス」は aquellos tacos となります。

もちろん、文脈によっては「(話題に出ている)そのタコス」というニュアンスで esos tacos と表現しても間違いではありません。

便利な「中性」の指示代名詞

スペイン語の名詞には「男性名詞」と「女性名詞」しかなく、「中性名詞」というカテゴリーは存在しません。しかし、指示代名詞には中性(esto, eso, aquello)が存在します。

これはどのような時に使うのでしょうか?

名前や性が分からないものを指すとき

例えば、「これは何ですか?」と質問する場面を想像してください。質問者はそれが何であるかを知らないため、当然その名詞の性(男性か女性か)も分かりません。

このように、「未知の物体」や「漠然とした事柄」を指す場合に、中性の指示代名詞を使用します。

¿Qué es esto?
(これは何ですか?)

答える時は「性」に合わせる

質問に対して答える人は、それが何であるかを知っています。そのため、答える際には名詞の性や数に合わせた指示代名詞を使います。

【パイナップル(piña:女性名詞)だった場合】

Esta es una piña.
(これはパイナップルです。)

※piña は女性名詞なので、esto ではなく esta を使います。

【本(libro:男性名詞)だった場合】

Este es un libro.
(これは本です。)

※libro は男性名詞なので、este となります。

中性の指示代名詞(esto, eso, aquello)は、形容詞形(estosなど)と混同しやすいですが、中性は常に単数扱いであり、複数形は存在しない点も覚えておきましょう。

まとめ

スペイン語の指示形容詞と指示代名詞について解説しました。ポイントを整理します。

  • 指示形容詞と指示代名詞の形は基本的に同じ
    (古いルールでは代名詞にアクセントが必要でしたが、現在は不要です)
  • 名詞の性と数に合わせて変化する
    (男性/女性、単数/複数 の4パターン)
  • 距離感は日本語の「こ・そ・あ」と同じ
    (este=ここ、ese=そこ、aquel=あそこ)
  • 正体不明のものは「中性」を使う
    (esto, eso, aquello。これらは名詞の性が分からない時に便利です)

まずは身の回りにあるものを指さして、「Este libro(この本)」「Esa mesa(その机)」のように口に出してみることから練習を始めてみましょう。

タイトルとURLをコピーしました