スペイン語の動詞 recordar は、「覚えている」「思い出す」という意味を持つ基本動詞の一つです。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使用されますが、学習者がつまずきやすいポイントがいくつか存在します。
特に、同義語である acordarse de との混同による文法ミスや、「思い出させて(Recuérdame)」と言う際の直説法と接続法の使い分けには注意が必要です。
この記事では、recordar の全活用表(ラテンアメリカの vos を含む)と、正確な意味・使い方を例文とともに解説します。
スペイン語の動詞 recordar の活用
recordar は、直説法現在形、命令法、接続法現在形で o ⇒ ue の語幹母音変化を起こす不規則活用動詞です。それ以外の時制(点過去、線過去、未来など)はすべて規則変化です。
recordar の分詞(現在分詞・過去分詞)
現在分詞、過去分詞ともに ar 動詞の規則変化です。
| 種類 | 活用 |
|---|---|
| 現在分詞 | recordando |
| 過去分詞 | recordado |
recordar の直説法(現在・点過去・線過去・未来)
直説法現在形
語幹の o が ue に変化します(nosotros, vosotros を除く)。ラテンアメリカの一部で使われる vos(ボセオ)の活用も併記します。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | recuerdo |
| tú / vos | recuerdas / recordás |
| él / ella / usted | recuerda |
| nosotros / nosotras | recordamos |
| vosotros / vosotras | recordáis |
| ellos / ellas / ustedes | recuerdan |
直説法点過去形
規則変化です。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | recordé |
| tú | recordaste |
| él / ella / usted | recordó |
| nosotros / nosotras | recordamos |
| vosotros / vosotras | recordasteis |
| ellos / ellas / ustedes | recordaron |
直説法線過去形
規則変化です。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | recordaba |
| tú | recordabas |
| él / ella / usted | recordaba |
| nosotros / nosotras | recordábamos |
| vosotros / vosotras | recordabais |
| ellos / ellas / ustedes | recordaban |
直説法未来形
規則変化です。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | recordaré |
| tú | recordarás |
| él / ella / usted | recordará |
| nosotros / nosotras | recordaremos |
| vosotros / vosotras | recordaréis |
| ellos / ellas / ustedes | recordarán |
recordar の可能法(過去未来)
規則変化です。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | recordaría |
| tú | recordarías |
| él / ella / usted | recordaría |
| nosotros / nosotras | recordaríamos |
| vosotros / vosotras | recordaríais |
| ellos / ellas / ustedes | recordarían |
recordar の命令法(肯定・否定)
肯定命令の tú、usted、ustedes および否定命令の全人称で語幹母音変化(o ⇒ ue)が起こります。
肯定命令の vos(アルゼンチンなどで使用)は不規則変化せず、アクセント位置が後ろに移動します。
| 主語 | 肯定命令 | 否定命令 |
|---|---|---|
| tú | recuerda | no recuerdes |
| vos | recordá | no recordés |
| usted | recuerde | no recuerde |
| nosotros | recordemos | no recordemos |
| vosotros | recordad | no recordéis |
| ustedes | recuerden | no recuerden |
recordar の接続法(現在・過去)
接続法現在形
直説法現在形と同様に、nosotros, vosotros を除く人称で語幹母音変化(o ⇒ ue)が起こります。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | recuerde |
| tú / vos | recuerdes / recordés |
| él / ella / usted | recuerde |
| nosotros / nosotras | recordemos |
| vosotros / vosotras | recordéis |
| ellos / ellas / ustedes | recuerden |
接続法過去形(ra形)
規則変化です。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | recordara |
| tú | recordaras |
| él / ella / usted | recordara |
| nosotros / nosotras | recordáramos |
| vosotros / vosotras | recordarais |
| ellos / ellas / ustedes | recordaran |
※スペインでは recordase という活用語尾(se形)も使われますが、ラテンアメリカおよび現代スペイン語の会話では recordara(ra形)が一般的です。
スペイン語の動詞 recordar の基本的な意味と使い方
recordar には大きく分けて2つの方向性の意味があります。「過去の記憶を取り戻す(覚えている)」ことと、「誰かに何かを想起させる(思い出させる)」ことです。
1. 「覚えている、思い出す」
過去の出来事や情報を記憶している、またはそれを意識上に呼び戻すという意味です。
¿Usted me recuerda?
直訳:あなたは私を覚えていますか?
意訳:私のことを覚えていますか?
No recuerdo dónde puse las llaves.
直訳:私はどこに鍵を置いたか思い出さない。
意訳:どこに鍵を置いたか思い出せません。
Si mal no recuerdo, la reunión es mañana.
直訳:もし私が悪く記憶していないなら、会議は明日だ。
意訳:私の記憶が正しければ、会議は明日です。
「Si mal no recuerdo(私の記憶が間違っていなければ)」は、ビジネスでも日常でも使える非常に便利な決まり文句です。
2. 「思い出させる、気づかせる」
主語が人や物に何らかの記憶を呼び起こさせる場合にも recordar を使います。「~に似ている」というニュアンスで使われることもあります。
Esa foto me recuerda a mi ciudad natal.
直訳:その写真は私に故郷を思い出させる。
意訳:その写真を見ると故郷を思い出します。
Tu hermano me recuerda mucho a ti.
直訳:君の兄は私に君をとても思い出させる。
意訳:君のお兄さんは、君にそっくりだね。
重要:「思い出させる(Recuérdame)」に続く文法の整理
「私に思い出させて(Recuérdame…)」という命令文の後ろに続く節は、「事実の確認」なのか「行為の要求」なのかによって、動詞の法(直説法・接続法)が異なります。
A. 事実を思い出させて(que + 直説法)
単に忘れている情報(事実)を教えてほしい場合は、直説法を使います。
Recuérdame que hoy es el cumpleaños de Juan.
直訳:今日がフアンの誕生日であることを私に思い出させて。
意訳:今日がフアンの誕生日だってこと、(忘れてたら)教えてね。
B. 行為をするように言って(que + 接続法)
「私が~するように促してほしい」という要求や依頼の場合は、接続法を使います。
Recuérdame que compre leche al volver a casa.
直訳:私が家に帰るときに牛乳を買うように、私に思い出させて。
意訳:帰りに牛乳を買うの忘れないように言ってね。
C. 単純な行為の喚起(不定詞)
主語が同じ場合や一般的な行為については、不定詞(動詞の原形)を続けることも可能です。
Recuérdame llamar a mi madre más tarde.
直訳:後で母に電話することを私に思い出させて。
意訳:後でお母さんに電話するよう言ってね。
注意点:recordar と acordarse de の違い
「覚えている」という意味において、recordar と acordarse de はほぼ同じ意味で使われますが、文法構造には決定的な違いがあります。
文法的な違い(de の有無)
最も重要なルールは、recordar は他動詞であり、前置詞 de を伴わないということです。
- ○ Recuerdo su nombre.(正解)
- ○ Me acuerdo de su nombre.(正解)
- × Recuerdo de su nombre.(間違い)
学習者が非常に間違いやすいポイントです。「acordarse de」のリズムに引きずられて「recordar de」と言わないように注意しましょう。
ニュアンスの違いと使い分け
- recordar: ややフォーマルな響きがあり、文章や公的な場で好まれます。また、前述の通り「思い出させる(他動詞)」としての用法があります。
- acordarse de: 日常会話ではこちらのほうが頻繁に使われます。「ふと思い出す」というニュアンスが強い傾向があります。
応用:名詞 recuerdos を使った挨拶表現
recordar の名詞形である recuerdo(思い出、記憶)は、複数形の recuerdos で「よろしく」という伝言の挨拶に使われます。
Dale recuerdos a tu familia.
直訳:君の家族に思い出を与えてくれ。
意訳:ご家族によろしくお伝えください。
ラテンアメリカ、スペイン問わず使える自然な表現です。別れ際に Saluda a tu familia(家族に挨拶してね)と言うのと同じ感覚で使用できます。
まとめ
スペイン語の動詞 recordar について解説しました。要点は以下の通りです。
- 活用: 現在形、命令法、接続法現在で o ⇒ ue の語幹母音変化をする。
- 意味: 「覚えている・思い出す」だけでなく、「(写真などが)思い出させる」という意味もある。
- 文法: 他動詞なので de は付かない(×Recuerdo de… は不可)。
- Recuérdameの使い分け: 事実なら直説法、行為の要求なら接続法を使う。

