「こっちの方が美味しい」「今日は昨日より暑いね」
日常会話において、何かと何かを比べるシーンは頻繁に登場します。スペイン語で自分の意見や好みをはっきりと伝えるために欠かせないのが、優等比較(~より…だ)と劣等比較(~ほど…ない)です。
特にスペイン語圏、とりわけラテンアメリカでは、ネガティブな響きのある「劣等比較」よりも、「優等比較(más … que)」が圧倒的によく使われます。初心者の方は、まずこの「優等比較」を使いこなせるようになることが上達の近道です。
この記事では、基本となる「más(menos) … que」のルールから、会話を豊かにする「mejor」や「mayor」などの重要表現までを体系的に解説します。
スペイン語の比較級の基本ルール
スペイン語の不等比較には、大きく分けて以下の2種類があります。
- 優等比較:「~と比べてより多い、~と比べてより良い」
- 劣等比較:「~と比べてより少ない、~と比べてより悪い」
まずは、比較を作るための基本公式を押さえましょう。
más / menos + 形容詞・副詞・名詞 + que …
- 優等比較(más): más … que …(~より~だ)
- 劣等比較(menos): menos … que …(~ほど~ではない)
【最重要】優等比較「más … que(~より~だ)」の使い方
もっとも使用頻度が高い基本の形です。形容詞、副詞、名詞のいずれかを挟んで比較文を作ります。
形容詞・副詞を使う場合(性質・状態・動作の比較)
「~より背が高い」「~より速く」など、性質や動作の程度を比較する場合です。
Jimena es más linda que Miranda.
直訳:ヒメナはミランダよりきれいだ。
意訳:ヒメナの方がミランダよりきれいだ。
Su carro es más lujoso que el mío.
直訳:彼の車は私のものより豪華だ。
意訳:彼の車は私の車より豪華です。
El examen de hoy ha sido más difícil que el anterior.
直訳:今日の試験は前の(試験)より難しかった。
意訳:今日のテストは前回より難しかったです。
副詞を使って、動作のスピードなどを比べることもできます。
Juan se levanta más temprano que su hermano.
直訳:フアンは彼の兄より早く起きる。
意訳:フアンはお兄さんより早起きです。
Tú corres más rápido que yo.
直訳:君は私より速く走る。
意訳:君の方が私より足が速い。
名詞を使う場合(量の比較)
「~より多くのお金」「~よりたくさんの水」など、数量を比較する場合、másを名詞の前に置きます。
Laura tiene más peluches que yo.
直訳:ラウラは私より多くのぬいぐるみを持っている。
意訳:ラウラは私よりたくさんぬいぐるみを持っています。
Necesitamos más dinero que fe.
直訳:私たちは信仰より多くのお金を必要としている。
意訳:私たちに必要なのは信仰よりお金だ。
Júpiter tiene más lunas que la Tierra.
直訳:木星は地球より多くの月(衛星)を持っている。
意訳:木星の衛星は地球より多い。
動詞を直接修飾する場合
間に何も挟まず、動詞のあとに más que を続けることで「~以上に…する」と表現できます。
Laura estudia más que yo.
直訳:ラウラは私より多く勉強する。
意訳:ラウラは私より勉強家だ。
Puedo hablar español más que inglés.
直訳:私は英語より多くスペイン語を話すことができる。
意訳:私は英語よりスペイン語の方が話せます。
劣等比較「menos … que(~ほど~ない)」と否定の優等比較
劣等比較は「~ほど…ではない」という意味を表します。
Laura tiene menos peluches que yo.
直訳:ラウラは私より少ないぬいぐるみを持っている。
意訳:ラウラの持っているぬいぐるみは私より少ない。
文法的には正しいですが、実際の会話では「劣等比較(menos)」をあえて使わず、「優等比較を否定する(no … más … que)」ことで同じ意味を表すことが好まれます。
Laura no tiene más peluches que yo.
直訳:ラウラは私より多くのぬいぐるみを持ってはいない。
意訳:ラウラは私ほどたくさんはぬいぐるみを持っていない。
【間違いやすい】数字の比較と「que」の限定用法
比較級で学習者がもっとも間違いやすいポイントの1つが、数字の前での「de」と「que」の使い分けです。
数字の前では「de」を使う
「~以上」「~以下」と具体的な数値を比較する場合は de を使います。
Laura no tiene más de diez pesos.
直訳:ラウラは10ペソより多くを持っていない。
意訳:ラウラはせいぜい10ペソしか持っていない。(所持金は10ペソ以下)
限定の「que」(~しか…ない)
否定文の中で que を使うと、「~以外には…ない」つまり「~だけ、~しか」という限定の意味になります。文脈によって意味が大きく異なるため注意が必要です。
Laura no tiene más que diez pesos.
直訳:ラウラは10ペソより多くを持っていない(10ペソ以外なにもない)。
意訳:ラウラはたった10ペソしか持っていない。
覚えるべき不規則な比較級:mejor / mayor など
形容詞の中には、más や menos を付けずに形自体が変化する特別なものがあります。これらは日常会話で頻出します。
良い・悪い(bueno / malo → mejor / peor)
「良い」「悪い」を比較する場合、más bueno や más malo とは言わず、専用の形を使います。
※名詞にかかる場合、性数一致(複数形など)が必要です。
- 優等比較: mejor … que …(~より良い)
- 劣等比較: peor … que …(~より悪い)
Laura tiene mejores diccionarios que yo.
直訳:ラウラは私より良い辞書(複数)を持っている。
意訳:ラウラは私より良い辞書を持っています。
Laura habla inglés mucho mejor que yo.
直訳:ラウラは私よりずっと良く英語を話す。
意訳:ラウラは私より英語がはるかに上手です。
※「ずっと」と強調したい場合は mucho を付けます。
大きい・小さい・年上・年下(grande / pequeño → mayor / menor)
grande(大きい)と pequeño(小さい)の比較級には注意が必要です。
- mayor / menor: 主に「年齢(年上・年下)」や「重要度」の比較に使います。
- más grande / más pequeño: 主に「物理的なサイズ」の比較に使います。
El novio de Laura es menor que lo que esperaba.
直訳:ラウラの彼氏は私が期待していたことより年下だ。
意訳:ラウラの彼氏は私が思っていたより年下です。
物理的な大きさについては、ラテンアメリカでは特に mayor ではなく más grande を使うのが一般的です。
Esta isla es más grande que la de allá.
直訳:この島はあそこの(島)より大きい。
意訳:この島は向こうの島より大きい。
表現の幅を広げる重要イディオム
最後に、más を使った日常会話で役立つ表現を紹介します。
más bien que …(どちらかといえばむしろ)
2つの性質を比較して、より適切な方を述べる表現です。
Laura está cansada más bien que enferma.
直訳:ラウラは病気というより、むしろ疲れている。
意訳:ラウラは病気というより、ただ疲れているだけだ。
no tener más que + 不定詞(~しさえすればよい)
直訳すると「~すること以上を持たない」となり、「~するだけでいい」という意味になります。
Usted no tiene más que llamar a Laura.
直訳:あなたはラウラに電話すること以外持っていない。
意訳:あなたはラウラに電話しさえすればいい。
nada más + 不定詞(~するとすぐに)
動作の直後を表す表現です。
Nada más doblar la esquina usted encontrará el edificio.
直訳:角を曲がること以外なにもなく、あなたはその建物を見つけるでしょう。
意訳:角を曲がるとすぐにその建物があります。
La mayoría de …(大部分の~)
「大部分の~」と言いたい場合、más ではなく la mayoría de を使うのが一般的です。
La mayoría de estos carros son de Toyota.
直訳:これらの車の大多数はトヨタ(製)です。
意訳:これらの車の大部分はトヨタ製です。
ラテン語由来の比較表現
文章語や少し硬い表現として、ラテン語に由来する比較表現もあります。これらは「que」ではなく「a」を伴うのが特徴です。
順序の比較(anterior / posterior)
Laura está sentada en la fila anterior a la mía.
直訳:ラウラは私の(列)より前の列に座っている。
意訳:ラウラは私より前の列に座っている。
Laura está sentada en la fila posterior a la mía.
直訳:ラウラは私の(列)より後ろの列に座っている。
意訳:ラウラは私より後ろの列に座っている。
レベルや位置の比較(superior / inferior)
Laura vive en el piso superior al mío.
直訳:ラウラは私の(階)より上の階に住んでいる。
意訳:ラウラは私より上の階に住んでいる。
Laura vive en el piso inferior al mío.
直訳:ラウラは私の(階)より下の階に住んでいる。
意訳:ラウラは私より下の階に住んでいる。
まとめ
スペイン語の比較表現について解説しました。まずは基本の más … que(~よりもっと…) をマスターし、日常会話でよく使われる不規則変化(mejor, mayorなど)を覚えていくのが上達の近道です。
とくにラテンアメリカでは、難しい単語を使わずに más grande(より大きい)のようにシンプルに表現することも多いので、難しく考えすぎずに、まずは身近なものを比べてみてください。

