スペイン語 venir の活用と意味・使い方|「都合がいい」「Ya vengo」等の表現も解説

venirの活用と意味 動詞の活用と意味
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どちらかというとラテンアメリカのスペイン語です。初級者による記録のため誤解があるかもしれません。ご理解くださいませ。

スペイン語の動詞 venir は、日常会話で最も頻繁に使われる動詞の一つです。

基本的な意味は「来る」ですが、日本語の「来る」とは使い所が異なるケースがあり、多くの学習者がつまずくポイントでもあります。また、活用においても語幹母音変化や完全不規則変化が多く含まれるため、正確な暗記が求められます。

この記事では、venir のすべての活用形を網羅した表と、ネイティブの感覚に基づいた正しい使い分け、そしてラテンアメリカでも頻出する実用的な表現表現を解説します。

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スペイン語の動詞 venir の活用

venir の活用は非常に不規則です。直説法現在形での語幹母音変化(e ⇒ ie)、1人称単数(yo)の不規則変化、さらには点過去や未来形でも特殊な変化をします。

分詞(現在分詞・過去分詞)

現在分詞は語幹の母音 e が i に変化します。

主語活用
現在分詞viniendo
過去分詞venido

直説法(現在・点過去・線過去・未来)

直説法現在形

1人称単数(yo)が vengo となる不規則変化です。また、tú, él, ella, usted, ellos, ellas, ustedes では語幹の母音が e ⇒ ie に変化します。nosotros と vos は規則的ですが、vos にはアクセント記号が付きます。

主語活用
yovengo
tú / vosvienes / venís
él / ella / ustedviene
nosotros / nosotrasvenimos
vosotros / vosotrasvenís
ellos / ellas / ustedesvienen

直説法点過去形

すべての主語で不規則変化します。語幹が vin- に変化するのが特徴です。

主語活用
yovine
viniste
él / ella / ustedvino
nosotros / nosotrasvinimos
vosotros / vosotrasvinisteis
ellos / ellas / ustedesvinieron

直説法線過去形

ir 動詞の規則活用通り、語尾が -ía と変化します。

主語活用
yovenía
venías
él / ella / ustedvenía
nosotros / nosotrasveníamos
vosotros / vosotrasveníais
ellos / ellas / ustedesvenían

直説法未来形

語幹に d が挿入される不規則変化です。

主語活用
yovendré
vendrás
él / ella / ustedvendrá
nosotros / nosotrasvendremos
vosotros / vosotrasvendréis
ellos / ellas / ustedesvendrán

可能法(過去未来)

未来形と同様に、語幹に d が挿入されます。

主語活用
yovendría
vendrías
él / ella / ustedvendría
nosotros / nosotrasvendríamos
vosotros / vosotrasvendríais
ellos / ellas / ustedesvendrían

命令法(肯定・否定)

肯定命令の tú は ven という短い不規則形になります。vos の肯定命令は vení です。否定命令はすべて接続法現在形の活用と同じになります。

主語肯定命令否定命令
venno vengas
vosveníno vengas
ustedvengano venga
nosotrosvengamosno vengamos
vosotrosvenidno vengáis
ustedesvenganno vengan

接続法(現在・過去)

接続法現在形

直説法現在形の1人称単数(vengo)をベースにした活用です。語幹はすべて veng- になります。

主語活用
yovenga
tú / vosvengas / vengás
él / ella / ustedvenga
nosotros / nosotrasvengamos
vosotros / vosotrasvengáis
ellos / ellas / ustedesvengan

接続法過去形(ra形)

直説法点過去形の3人称複数(vinieron)をベースにした活用です。

主語活用
yoviniera
vinieras
él / ella / ustedviniera
nosotros / nosotrasviniéramos
vosotros / vosotrasvinierais
ellos / ellas / ustedesvinieran
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スペイン語の動詞 venir の意味と使い方

来る、やって来る

話し手のいる場所に人や物が移動してくる、基本的な「来る」という意味です。

Ellos vienen en autobús.
直訳:彼らはバスで来る。
意訳:彼らはバスでやって来ます。

Ya ha venido el médico.
直訳:すでに医者は来ています。
意訳:お医者さんはもう到着しています。

¿Puedes venir a mi oficina? – Sí, voy ahora mismo.
直訳:私のオフィスに来ることはできますか? – はい、今すぐ行きます。
意訳:私のオフィスに来れる? – うん、今すぐ行くね。

「行ってきます」を表す Ya vengo / Ahorita vengo

面白いことに、スペイン語では「行ってきます(すぐ戻ります)」と言う際に ir ではなく venir を使い、Ya vengo と言うのが一般的です。それはなぜか?

1.「出発」ではなく「帰着」を約束している

日本語の「行ってきます」は、「行く(離れる)」+「来る(戻る)」という一連の動作を説明しています。 一方、スペイン語の Ya vengo は、「行く(離れる)」という明白な動作を省略し、「(すぐに)戻ってきている状態になる」という結果だけを強調しています。

  • 日本語の論理:今から行って、戻ってきます。(プロセス重視)
  • スペイン語の論理:(行くのは当たり前だから省いて)すぐに(ここに)来ます。(結果・安心感重視)

「今から君の元を離れるけど、すぐにまた君がいる『ここ』に向かう動作(=来る)をするよ」という宣言なのです。

2.心理的な「現在地」の操作

ここが面白いところですが、スペイン語話者が Ya vengo と言う時、心理的な視点はすでに「未来の戻ってくる時点」にあります。

  • Ir(行く):今いる場所(ここ)から離れる動き。
    もし Ya me voy と言えば、「もう行くね(さようなら)」という別れの挨拶になります。これだと「戻ってくる」ニュアンスが含まれません。
  • Venir(来る):今いる場所(ここ)に向かう動き。
    Ya vengo は、「未来の自分」が「今の場所(ここ)」に向かって移動してくることを表現しています。

つまり、「ちょっと離れるけど、気持ちは『ここ』にあるよ(=すぐに戻るよ)」というニュアンスを出すためには、Ir ではなく Venir を使うのが論理的に正しい選択になるのです。

Voy al baño, ya vengo.
直訳:トイレに行きます、もう来ます。
意訳:トイレに行ってくるね、すぐ戻るよ。

また、メキシコやグアテマラなどラテンアメリカの一部の地域では、縮小辞を伴った Ahorita vengo も頻繁に使われます。意味は Ya vengo と同じく「すぐ戻るよ」ですが、より親しみのある口語的な響きを持ちます。

帰ってくる、戻ってくる(Venirse)

再帰動詞 venirse の形にすると、「(ある場所から)帰ってくる」「戻ってくる」というニュアンスが強まります。単なる移動ではなく、「自分の本来の場所(家など)に帰着する」という意味合いでよく使われます。

Me vine temprano de la fiesta porque estaba cansada.
直訳:私は疲れていたので、パーティーから早く自分を来させた。
意訳:疲れていたので、パーティーから早めに帰ってきました。

起因する、~産である【+ de】

物の由来や起源を表します。ser de ~(~出身である)に近い用法です。

Esta palabra viene del latín.
直訳:この単語はラテン語から来ている。
意訳:この単語はラテン語由来です。

~してきたところです【+ de + 不定詞】

直前まで行っていた動作を表します。

Vengo de ver una película.
直訳:映画を見ることから来た。
意訳:映画を見てきたところです。

※「映画を見に来た」という目的を表す場合は、前置詞が a になります。
He venido a ver una película.(映画を見に来ました)

~しつづけてきている【+ 現在分詞】

過去から現在まで継続している動作を表します。

El profesor lo viene diciendo hace mucho tiempo.
直訳:先生はずっと前からそれを言い続けてきている。
意訳:それは先生がずっと前から言っていることです。

~の状態でくる、~している【+ 過去分詞 / 形容詞】

どのような状態で到着したかを説明します。

Ella vino cansada del trabajo.
直訳:彼女は仕事から疲れた状態で来た。
意訳:彼女は仕事で疲れきって帰ってきた。

Vine sentado en el tren.
直訳:電車の中で座った状態で来た。
意訳:電車では座って来ました。

都合が良い、似合う

服のサイズや予定などが「合う」ことを表します。間接目的語(me, te, le…)を伴って使います。

El viernes no me viene bien.
直訳:金曜日は私にとって良く来ない。
意訳:金曜日は都合が悪いです。

Ese color te viene muy bien.
直訳:その色は君にとても良く来る。
意訳:その色は君によく似合うよ。

まとめ

スペイン語の動詞 venir は不規則変化が多く、覚えるのが大変な動詞の一つです。

特に、直説法現在形の「yo vengo」、点過去形の「vine」、未来形の「vendré」、そして命令法の「ven」などは形が大きく変わるため、重点的に練習する必要があります。

また、意味に関しては「視点がどこにあるか」が重要です。日本語の直訳に頼らず、「話し手の場所(ここ)に近づく動き=venir」というイメージを持つことで、Ya vengo(すぐ戻る)のようなネイティブ特有の表現も自然と理解できるようになります。

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