スペイン語で「一番おいしい」「すごく大きい」といった表現をするには、「最上級」の知識が欠かせません。
スペイン語の最上級には、他と比較して一番を決める相対最上級と、比較対象なしに程度が甚だしいことを表す絶対最上級の2種類が存在します。
この記事では、基本的な作り方から、学習者が間違えやすい不規則な綴りの変化、そしてラテンアメリカの日常会話で多用されるリアルな強調表現までを体系的に解説します。
1. 相対最上級:「グループの中で一番~だ」
「~の中で最も〇〇だ」と表現する場合に使います。英語と比較せず、スペイン語独自の語順として覚えましょう。
基本の作り方(定冠詞 + más/menos + 形容詞 + de)
基本の公式は以下の通りです。
- 定冠詞 + (名詞) + más (または menos) + 形容詞 + de (または entre/en) …
比較級の前に定冠詞(el, la, los, las)を置くことで、「その中で特定の一番のもの」というニュアンスになります。比較対象を示す範囲には前置詞 de を使うのが一般的です。
María es la chica más bonita de todas.
直訳:マリアは全て(の女の子たち)の中で、最もかわいい女の子です。
意訳:マリアはみんなの中で一番かわいい女の子です。
文脈で名詞が明らかな場合、名詞は省略されることがよくあります。
María es la más bonita de mi clase.
直訳:マリアは私のクラスの中で、最もかわいい(人)です。
意訳:マリアはクラスで一番かわいいです。
「最も~でない(一番~ではない)」という劣等最上級の場合は、más の代わりに menos を使います。
María es la menos bonita de mi clase.
直訳:マリアは私のクラスの中で、最もかわいくない(人)です。
意訳:マリアはクラスで一番かわいくないです。
「~の中で」の部分を文章で説明したい場合は、関係代名詞 que を使います。
Eres la mujer más bella que he conocido.
直訳:君は私が(今まで)知った中で、最も美しい女性です。
意訳:今まで会った中で、君が一番美しい女性です。
【重要】不規則な比較級・最上級(Mejor, Peor)
形容詞の中には、más を使わずに形そのものが変化する不規則なものがあります。特に「良い(bueno)」と「悪い(malo)」は頻出です。
| 形容詞(原級) | 比較級・最上級 | 意味 |
|---|---|---|
| bueno(良い) | mejor | より良い・最も良い |
| malo(悪い) | peor | より悪い・最も悪い |
これらを使う場合、通常は名詞の前に置かれます。
日常会話でよく使われる、ラテンアメリカの実情に即した例文を見てみましょう。
単独で一番を主張する場合
主観的に「これが一番だ」と主張する場合は、定冠詞 + mejor + 名詞 の形をとります。
Para mí, el café de Colombia es el mejor.
直訳:私にとって、コロンビアのコーヒーは最高(のもの)です。
意訳:私にとって、コロンビアのコーヒーが一番です。
「最高の中の一つ」と表現する場合
トップクラスであることを示しつつ、他にも同等のものがある場合は uno de / una de を使います。この場合、後ろに来る名詞と形容詞は複数形になります。
La gastronomía peruana es una de las mejores del mundo.
直訳:ペルーの美食文化は、世界の最も良いものたちの一つです。
意訳:ペルー料理は世界で最も美味しい料理の一つです。
副詞の相対最上級
副詞(速く、上手に、など)を最上級にする場合も基本は同じですが、定冠詞には中性の lo が使われることが多くあります。文脈によっては定冠詞なしで表現されることもあります。
Fernando corre más rápido que los demás.
直訳:フェルナンドは他の人たちよりも速く走る。
意訳:フェルナンドは誰よりも速く走る。
関係詞を伴う強調構文では、定冠詞が必須です。
Gonzalo es el que mejor entiende el problema.
直訳:ゴンサロはその問題を最も良く理解している(人)です。
意訳:ゴンサロが問題を一番よく理解しています。
2. 絶対最上級:「ものすごく~だ(-ísimo)」
絶対最上級は、他と比較するのではなく、その性質の程度が「非常に高い」ことを表します。日本語の「超~」「ものすごく~」に相当します。
最も一般的な作り方は、形容詞の語尾に -ísimo / -ísima を付ける方法です。
接尾辞 -ísimo の付け方と基本ルール
形容詞の終わりの文字によって付け方が異なります。
- 子音で終わる場合: そのまま -ísimo を付けます。
例:difícil(難しい)→ dificilísimo(超難しい) - 母音で終わる場合: 最後の母音を取り除いて -ísimo を付けます。
例:caro(高い)→ carísimo(超高い)
El tiempo de hoy está buenísimo.
直訳:今日の天気は最高に良い。
意訳:今日の天気は最高だね。
【試験に出る】綴りが変わる不規則な絶対最上級
元の形容詞の発音を保つために、綴り(スペル)が変化するものがあります。これらは試験でも会話でも頻出の重要単語です。
| 変化のルール | 元の形容詞 | 絶対最上級 | 意味 |
|---|---|---|---|
| co → qu | rico(美味しい/金持ち) | riquísimo | すごく美味しい |
| go → gu | largo(長い) | larguísimo | すごく長い |
| z → c | feliz(幸せ) | felicísimo | すごく幸せ |
特に「Rico(美味しい)」はラテンアメリカで食事の際によく使います。
¡Este taco está riquísimo!
直訳:このタコスは非常に美味しい!
意訳:このタコス、最高にうまいよ!
ラテン由来の不規則形(óptimo, pésimoなど)
-ísimo を付ける以外に、ラテン語由来の特別な絶対最上級の形を持つ形容詞があります。
- bueno(良い) → óptimo(最適な、最善の)
- malo(悪い) → pésimo(最悪の)
- grande(大きい) → máximo(最大の)
- pequeño(小さい) → mínimo(最小の)
これらはやや硬い表現や、専門的な文脈で好まれますが、pésimo(最悪)などは日常会話でも使われます。
Hoy tuve un día pésimo.
直訳:今日、私は最悪な一日を持った。
意訳:今日は最悪な一日だったよ。
ただし、日常会話で「すごく良い」と言う場合は、óptimo よりも buenísimo の方が一般的です。
3. 日常会話で使える!その他の最上級・強調表現
教科書的な最上級以外にも、ネイティブがよく使う表現があります。
「できるだけ~」(lo más … posible)
「可能な限り~」という表現は、副詞の最上級の応用で作ります。
Llegué lo más pronto posible.
直訳:私は可能な限り最も早く到着した。
意訳:できるだけ急いで来ました。
posible の代わりに que + poder(~ができる限り)を使うこともあります。
Se levantó lo más temprano que pudo.
直訳:彼は彼ができた最も早い時間に起きた。
意訳:彼はできるだけ早く起きた。
ラテンアメリカで頻出!接頭辞による強調(super-, re-)
ラテンアメリカ、特にメキシコやコロンビアなどでは、-ísimo の代わりに接頭辞を使って強調することが非常に多いです。
- super- + 形容詞(とても~)
- re- + 形容詞(本当に~、マジで~)
Estoy supercansado.
直訳:私は超疲れている。
意訳:もうヘトヘトだよ。
Esa chica es relinda.
直訳:あの子は本当に可愛い。
意訳:あの子、めっちゃ可愛いね。
※これらは口語表現なので、フォーマルな書き言葉では避けたほうが無難ですが、親しい間柄では頻繁に耳にします。
否定語を使った最上級的表現
「~より良いものはない」「~ほど〇〇な人はいない」と否定することで、逆説的に最上級を表す文学的かつ情緒的な表現です。
No hay nada más caro que la ignorancia.
直訳:無知よりも高いものは何もない。
意訳:無知ほど高くつくものはない。
Nadie estudia más que Antonio.
直訳:アントニオ以上に勉強する人は誰もいない。
意訳:アントニオが一番勉強している。
まとめ
スペイン語の最上級には、順位を決める「相対最上級」と、程度の甚だしさを表す「絶対最上級」があります。
まずは基本の el más … と -ísimo の形を覚え、次に mejor / peor や riquísimo といった不規則な変化をマスターしましょう。さらに super- などの口語表現を知っておくと、ラテンアメリカでの会話がより自然に楽しめます。

