【スペイン語】直説法点過去形の不規則活用|パターン別で覚える完全ガイド

直説法点過去形の不規則活用 スペイン語の文法
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どちらかというとラテンアメリカのスペイン語です。初級者による記録のため誤解があるかもしれません。ご理解くださいませ。

この記事では、スペイン語の直説法点過去形(pretérito indefinido)における、語幹母音変化や不規則変化について解説します。

点過去の不規則動詞には、「行く(ir)」「ある・いる(estar/tener)」「言う(decir)」など、日常会話で最も頻繁に使う動詞が含まれています。これらを避けて通ることはできません。

一見すると複雑に見えますが、実はでたらめに変化しているわけではなく、「音のパターン」でいくつかのグループに分類できます。この記事では、動詞をパターン別に整理して紹介します。

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1. 完全に不規則な重要動詞

まずは、特定のルールに当てはまらない、独自の変化をする動詞です。使用頻度が非常に高いので、これらは最優先で覚えましょう。

Ser(~である)と Ir(行く)

動詞 ser と動詞 ir の点過去活用は、完全に同じ形になります。

主語ser / ir 共通の活用
yofui
tú / vosfuiste
él / ella / ustedfue
nosotros / nosotrasfuimos
vosotros / vosotrasfuisteis
ellos / ellas / ustedesfueron

文脈による使い分け(Ser か Ir か)

形が同じでも、文脈によって意味を判断します。見分けるポイントは、後ろに続く言葉です。

  • Ir(行く)の場合: 前置詞 a(~へ)を伴って場所が続くことが多いです。
  • Ser(~である)の場合: 形容詞や名詞(性質・職業・評価など)が続きます。

Ayer fui al mercado central.
直訳:昨日、私は中央市場へ行った。
意訳:昨日、中央市場へ行きました。
(※「al(a + el)」があるので移動を表す ir と判断)

La reunión fue muy interesante.
直訳:その会議はとても興味深かった。
意訳:会議はとても面白かったです。
(※形容詞 interesante があるので性質を表す ser と判断)

Dar(与える)と Ver(見る)

この2つは規則変化(-er / -ir 動詞)の語尾とよく似ていますが、アクセント記号(tilde)が一切付かないという特徴があります。

主語darver
yodivi
tú / vosdisteviste
él / ella / usteddiovio
nosotros / nosotrasdimosvimos
vosotros / vosotrasdisteisvisteis
ellos / ellas / ustedesdieronvieron

※ 1人称単数(di, vi)や3人称単数(dio, vio)にアクセント記号を付けないように注意してください。

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2. 語幹が独自に変化する動詞(共通語尾)

次に紹介するのは、語尾は共通していますが、動詞の根幹部分(語幹)の音がガラッと変わるグループです。語幹の変化の音によって、大きく3つのグループ(U・I・J)に分けられます。

このグループの共通語尾は以下の通りです。ここにもアクセント記号は付きません。

  • yo: -e
  • tú: -iste
  • él/ella: -o
  • nosotros: -imos
  • vosotros: -isteis
  • ellos/ellas: -ieron(※Jグループのみ -eron)

語幹に「U」の音が入る動詞(Uグループ)

語幹の中に強い u の音が現れるグループです。

動詞語幹変化主な活用例 (yo / él / ellos)
estar(いる)estuv-estuve, estuvo, estuvieron
tener(持つ)tuv-tuve, tuvo, tuvieron
andar(歩く)anduv-anduve, anduvo, anduvieron
poder(できる)pud-pude, pudo, pudieron
poner(置く)pus-puse, puso, pusieron
saber(知る)sup-supe, supo, supieron
caber(入る)cup-cupe, cupo, cupieron
haber(ある)hub-hube, hubo, hubieron

haber の3人称単数形 hubo((出来事が)あった、起きた)は非常によく使われます。

No pude dormir anoche.
直訳:私は昨夜、眠ることができなかった。
意訳:昨夜は眠れませんでした。

Ayer estuve enfermo.
直訳:昨日、私は病気の状態だった。
意訳:昨日は体調が悪かったです。

語幹に「I」の音が入る動詞(Iグループ)

語幹の中に強い i の音が現れるグループです。

動詞語幹変化主な活用例 (yo / él / ellos)
hacer(する・作る)hic-hice, hizo, hicieron
querer(欲する)quis-quise, quiso, quisieron
venir(来る)vin-vine, vino, vinieron

hacer の3人称単数形は、発音を保つために c が z に変わり、hizo となります。

¿Qué hiciste el fin de semana?
直訳:週末、君は何をしたか?
意訳:週末は何をしましたか?

語幹に「J」の音が入る動詞(Jグループ)

語幹に j の音が現れるグループです。このグループの最大の特徴は、3人称複数(ellos/ellas/ustedes)の語尾から i が消えることです。

  • 通常:-ieron
  • Jグループ:-eron(j の直後の i が脱落する)
動詞語幹変化主な活用例 (yo / él / ellos)
decir(言う)dij-dije, dijo, dijeron
traer(持ってくる)traj-traje, trajo, trajeron
conducir(運転する)conduj-conduje, condujo, condujeron
traducir(翻訳する)traduj-traduje, tradujo, tradujeron
producir(生産する)produj-produje, produjo, produjeron

※ conducir のような -cir で終わる動詞の多くは、この変化をします。

Ellos me dijeron la verdad.
直訳:彼らは私に真実を言った。
意訳:彼らは私に本当のことを言いました。
(※ dijieron としないように注意)

3. 3人称でのみ変化する動詞

1人称(yo)や2人称(tú)などは規則変化と同じですが、3人称単数(él/ella/usted)と3人称複数(ellos/ellas/ustedes)のみ、語幹の母音が変化する動詞です。

「サンダル動詞(表の下半分だけ変化する)」とも呼ばれます。これらは規則活用と同じ語尾を使うため、アクセント記号も規則通りに付きます。

語幹母音変化 e ⇒ i

現在形の語幹母音変化(e ⇒ ie / e ⇒ i)をする -ir 動詞の多くがこれに当てはまります。

例)pedir(頼む・注文する)

主語活用形
yopedí
tú / vospediste
él / ella / ustedpidió
nosotros / nosotraspedimos
vosotros / vosotraspedisteis
ellos / ellas / ustedespidieron

同じパターンの動詞:

  • servir(役立つ・給仕する):sirvió, sirvieron
  • sentir(感じる):sintió, sintieron
  • preferir(好む):prefirió, prefirieron
  • repetir(繰り返す):repitió, repitieron
  • mentir(嘘をつく):mintió, mintieron

語幹母音変化 o ⇒ u

主に以下の2つの動詞です。

例)dormir(眠る)

主語活用形
yodormí
tú / vosdormiste
él / ella / usteddurmió
nosotros / nosotrasdormimos
vosotros / vosotrasdormisteis
ellos / ellas / ustedesdurmieron

同じパターンの動詞:

  • morir(死ぬ):murió, murieron

i ⇒ y の変化(Y変化)

語幹が母音で終わる -er / -ir 動詞の場合、3人称の語尾の i が、母音に挟まれることで y に変化します。

例)leer(読む)

主語活用形
yoleí
tú / vosleíste
él / ella / ustedleyó
nosotros / nosotrasleímos
vosotros / vosotrasleísteis
ellos / ellas / ustedesleyeron

※ i にアクセント記号が付く点にも注意してください。

同じパターンの動詞:

  • creer(信じる):creyó, creyeron
  • oír(聞こえる):oyó, oyeron
  • caer(落ちる):cayó, cayeron
  • construir(建設する):construyó, construyeron

4. つづり字(スペル)が変化する動詞

最後に、発音のルールを守るために、1人称単数(yo)のみスペルが変わる動詞です。活用語尾自体は規則変化と同じです。

-car, -gar, -zar 動詞

  • -car ⇒ -qué(例:buscar)
    yo busqué(私は探した)
  • -gar ⇒ -gué(例:llegar)
    yo llegué(私は着いた)
  • -zar ⇒ -cé(例:empezar)
    yo empecé(私は始めた)

※ yo 以外の主語(tú, él…)は、通常の規則変化(buscaste, buscó…)となります。

まとめ

スペイン語の直説法点過去形の不規則変化を、パターン別に紹介しました。

数が多くて大変に感じるかもしれませんが、特に重要なのは以下の4つです。

  1. Ser / Ir(fui…)
  2. Estar(estuve…)
  3. Tener(tuve…)
  4. Decir(dije…)

まずはこの4大動詞を会話で使えるようにし、そこから似た音のパターン(U・I・Jグループ)を広げていくとスムーズに覚えられます。ぜひ、音読してリズムで活用を覚えてみてください。

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