スペイン語の「気をつけて」は場面によって表現が変わる
日本語の「気をつけて」は、目の前の危険を知らせるときにも、相手へ注意を促すときにも、別れ際のあいさつにも使えます。
スペイン語では、場面や伝えたい内容によって表現を使い分けます。
- ¡Cuidado!:目の前の危険を知らせる「危ない!」「気をつけて!」
- Ten cuidado.:相手へ注意を促す「気をつけてね」
- ¡Ojo! / Fíjate.:相手の注意を何かへ向ける「注意して」「よく見て」
- ¡Aguas!:メキシコ・グアテマラ・エルサルバドルで確認される地域的な警告表現
- ¡Cuídate!:別れ際などに使う「気をつけてね」「元気でね」
同じ「気をつけて」という日本語訳でも、使う場面には違いがあります。それぞれの使い方を順番に見ていきます。
とっさに「危ない!」と警告する ¡Cuidado!
¡Cuidado! は、危険が迫っているときや、相手へすぐに注意を向けてもらいたいときに使う基本的な警告表現です。
日本語では「危ない!」「気をつけて!」などと訳せます。
¡Cuidado! Viene un carro.
直訳:気をつけて!車が来ます。
意訳:危ない!車が来るよ。
¡Cuidado! El piso está mojado.
直訳:気をつけて!床が濡れています。
意訳:気をつけて!床が濡れているよ。
¡Cuidado! La taza está caliente.
直訳:気をつけて!カップは熱いです。
意訳:気をつけて!そのカップは熱いよ。
¡Cuidado! は単独でも使えます。危険を感じた瞬間に、とっさに警告するときにも使いやすい表現です。
¡Cuidado con…! で注意する対象を示す
何に注意すればよいのかを具体的に示したい場合は、cuidado con + 名詞 の形を使えます。
¡Cuidado con el escalón!
直訳:その段差に気をつけて!
意訳:段差に気をつけて!
¡Cuidado con el perro!
直訳:その犬に気をつけて!
意訳:犬に気をつけて!
¡Cuidado con esa olla! Está caliente.
直訳:その鍋に気をつけて!それは熱いです。
意訳:その鍋、熱いから気をつけて!
con の後ろには、注意すべき人・物・状況などを置くことができます。
一般的に「気をつけて」と注意する Ten cuidado
Ten cuidado. は、相手へ注意するよう促す表現です。
¡Cuidado! が目の前の危険に対するとっさの警告として使いやすいのに対し、Ten cuidado は「これから気をつけて」「注意して行動してね」のような助言にも使えます。
Ten cuidado al cruzar la calle.
直訳:通りを渡るときに気をつけて。
意訳:道を渡るときは気をつけてね。
Ten cuidado con el cuchillo.
直訳:そのナイフに気をつけて。
意訳:ナイフの扱いに気をつけてね。
Ten cuidado cuando manejes de noche.
直訳:あなたが夜に運転するときは気をつけて。
意訳:夜に運転するときは気をつけてね。
Ten cuidado con + 名詞
¡Cuidado con…! と同じように、Ten cuidado にも con を続けて、注意する対象を示せます。
Ten cuidado con ese cable.
直訳:そのケーブルに気をつけて。
意訳:そのケーブルに気をつけてね。
Ten cuidado con tus cosas.
直訳:あなたの持ち物に気をつけて。
意訳:持ち物には気をつけてね。
名詞や人を後ろに置いて「それが危険の原因にならないよう注意する」という場合は、tener cuidado con + 名詞・人 が基本です。
Ten cuidado de no + 不定詞
「~しないように気をつけて」と言いたい場合には、tener cuidado de no + 不定詞 という形が使われます。
Ten cuidado de no caerte.
直訳:転ばないように気をつけて。
意訳:転ばないように気をつけてね。
Ten cuidado de no perder las llaves.
直訳:鍵をなくさないように気をつけて。
意訳:鍵をなくさないようにね。
この場合は、tener cuidado de no + 不定詞 というまとまりで覚えると分かりやすいです。
なお、tener cuidado de の後ろに人や物をそのまま置く場合は、「その人・物の世話をする」という別の意味になることがあります。危険の原因となる人・物に注意する場合は、tener cuidado con を使います。
相手によって Ten cuidado の形が変わる
Ten cuidado の ten は、動詞 tener の肯定命令形です。そのため、話しかける相手によって形が変わります。
- tú:Ten cuidado.
- usted:Tenga cuidado.
- vos:Tené cuidado.
- ustedes:Tengan cuidado.
この記事の一般的な例文では tú の形を基本としていますが、グアテマラでは親しい相手との会話などで vos も使われます。その場合は Tené cuidado となります。
「注意して」「よく見て」と言う ¡Ojo! と Fíjate
¡Ojo! や Fíjate は、単に危険を知らせるだけでなく、相手の注意を何かへ向けたいときにも使われます。
¡Ojo! は相手に注意を促す表現
¡Ojo! は、「注意して」「気をつけて」「よく見て」といった意味で使われる表現です。
ojo は本来「目」という意味ですが、¡Ojo! と間投詞として使うと、相手へ注意を促す働きをします。
¡Ojo! Ese vaso está roto.
直訳:注意!そのグラスは割れています。
意訳:気をつけて!そのグラスは割れているよ。
¡Ojo con la cartera!
直訳:財布に注意して!
意訳:財布には気をつけて!
Ojo, aquí no se puede estacionar.
直訳:注意、ここでは駐車することができません。
意訳:注意してね。ここは駐車できないよ。
¡Ojo! はラテンアメリカだけの表現ではなく、スペイン語で広く使われる注意喚起の表現です。
Fíjate は具体的なものへ注意を向ける
Fíjate は動詞 fijarse の命令形で、「よく見て」「注意して」「気づいて」のように、相手の注意を具体的なものへ向けるときに使えます。
必ずしも相手を叱っているわけではなく、表現の強さは場面や話し方によって変わります。
Fíjate por dónde caminas.
直訳:あなたがどこを歩いているかに注意して。
意訳:足元をよく見て歩いて。
Fíjate bien antes de cruzar.
直訳:渡る前によく注意して見て。
意訳:渡る前によく確認してね。
Fíjate en el escalón.
直訳:その段差に注意を向けて。
意訳:その段差に気をつけて。
Fíjate por dónde caminas の dónde は、ここでは「どこを歩いているか」という間接疑問の意味になるため、アクセント符号が付きます。

¡Cuidado! と Fíjate は、どちらも「気をつけて」と訳せるんですね。

¡Cuidado! は危険への警告として使いやすく、Fíjate は「そこをよく見て」のように、相手の注意を具体的なところへ向けるときにも使えます。
vos では Fijate
グアテマラなどで vos を使う場合、tú の Fíjate に対応する形は Fijate です。
- tú:Fíjate.
- vos:Fijate.
voseo の肯定命令では fijá が使われ、再帰代名詞 te が付くと fijate となります。Fijate は正書法上、アクセント符号を付けません。
一般的な例文では tú の Fíjate を使い、Fijate は voseo の形として覚えておけば十分です。
地域的な警告表現 ¡Aguas!
¡Aguas! は、「危ない!」「気をつけて!」のように危険を知らせる間投詞として使われる地域的な表現です。
ASALEの『Diccionario de americanismos』では、メキシコ、グアテマラ、エルサルバドルで使われる表現として掲載されています。
ただし、スペイン語圏のどこでも同じように使われる表現ではありません。地域にかかわらず使いやすい警告表現としては ¡Cuidado! があります。
¡Aguas! Viene una moto.
直訳:危ない!バイクが来ます。
意訳:危ない!バイクが来るよ。
¡Aguas! El piso está mojado.
直訳:気をつけて!床が濡れています。
意訳:気をつけて!床が濡れているよ。
¡Aguas! Ese perro muerde.
直訳:気をつけて!その犬は噛みます。
意訳:危ない!その犬は噛むよ。
aguas は形だけを見ると agua の複数形ですが、この使い方では「水」と訳すのではなく、危険を知らせる間投詞として理解します。
初級者の場合は、まず ¡Cuidado! を基本的な警告表現として覚えたうえで、¡Aguas! を地域的な表現として知っておくと整理しやすくなります。
別れ際の「気をつけてね」は ¡Cuídate!
人と別れるときの「気をつけてね」「身体に気をつけてね」には、¡Cuídate! が使えます。
cuídate は動詞 cuidarse の命令形です。cuidarse には、自分自身の健康などに気を配るという意味があります。
そのため、目の前の危険を知らせる ¡Cuidado! とは使う場面が異なります。
Bueno, nos vemos mañana. ¡Cuídate!
直訳:それでは、明日会いましょう。自分自身に気を配って!
意訳:じゃあ、また明日。気をつけてね!
¡Cuídate mucho!
直訳:自分自身にしっかり気を配って!
意訳:身体に気をつけてね!
Cuídate y descansa.
直訳:自分自身に気を配って、そして休んで。
意訳:身体に気をつけて、ゆっくり休んでね。

日本語ではどちらも「気をつけて」ですが、車が来たときに ¡Cuídate! と言うわけではないんですね。

目の前の危険なら ¡Cuidado!、別れ際の気遣いなら ¡Cuídate! と考えると区別しやすいです。
相手によって Cuídate の形も変わる
- tú:Cuídate.
- usted:Cuídese.
- vos:Cuidate.
- ustedes:Cuídense.
グアテマラで vos を使う場面では Cuidate という形も使われます。
tú の Cuídate では cuí に強勢があります。一方、voseo の Cuidate は cuidá に再帰代名詞 te が付いた形で、da に強勢があります。正書法上、Cuidate にアクセント符号は付きません。
「気をつけて」の表現を場面別に整理
日本語では同じ「気をつけて」と訳せる表現でも、スペイン語では場面によって選び方が変わります。
- ¡Cuidado!:目の前の危険を知らせる「危ない!」「気をつけて!」
- ¡Cuidado con…!:何に注意するのか具体的に示す
- Ten cuidado.:これからの行動について「気をつけて」と注意・助言する
- ¡Ojo!:相手に注意を促す
- Fíjate.:具体的なものへ注意を向けてもらう
- ¡Aguas!:メキシコ・グアテマラ・エルサルバドルで確認される地域的な警告表現
- ¡Cuídate!:別れ際などに相手を気遣う「気をつけてね」「元気でね」
まずは、危険への警告なら ¡Cuidado!、一般的な注意なら Ten cuidado、別れ際なら ¡Cuídate! という違いを押さえておくと使い分けやすくなります。

