スペイン語の「Se」を使った受け身(受動態)を完全解説!無人称との違いや使い分けは?

スペイン語の「Se」を使った受け身(受動態) 会話で使えるスペイン語
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どちらかというとラテンアメリカのスペイン語です。初級者による記録のため誤解があるかもしれません。ご理解くださいませ。

スペイン語圏、特にラテンアメリカの街を歩いていると、家の壁や商店の入り口で「Se Vende(売ります)」「Se Alquila(貸します)」といった張り紙を頻繁に目にします。

これらは文法的には「Seを使った受け身(受動態)」と呼ばれる表現です。

しかし学習を進めると、似たような形で「無人称(一般論)」という文法も登場し、「どっちがどっち?」「なぜ動詞が単数だったり複数だったりするの?」と混乱してしまうことがよくあります。

本記事では、日常会話や街中の看板で多用される「Se受け身」の仕組みと、学習者がつまずきやすい「無人称との決定的な違い」について解説します。

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スペイン語の「Se」を使った受け身(受動態)とは?

通常、文章には「誰が(主語)」動作をするのかが明示されます。

Juan vende pan aquí.
フアンはここでパンを売っている(能動態)

しかし、「誰が売っているか」はどうでもよく、「パンが売られている」という事実だけを伝えたい場合があります。この時に登場するのがSeを使った受け身です。

基本構造とルール

Se + 動詞 + 主語(モノ・事柄)

この構文の最大のルールは、「動詞は、後ろに来る主語(モノ)の数に合わせる」ということです。

主語が単数の場合(動詞は3人称単数)

Aquí se vende pan.
直訳:ここではパンが売られている
意訳:パン売ります

主語が複数の場合(動詞は3人称複数)

Aquí se venden flores.
直訳:ここでは花(複数)が売られている
意訳:花売ります

このように、主語(パンや花)に合わせて動詞が変化するのが「受け身」の特徴です。

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【超重要】「受け身」と「無人称」の違いと見分け方

ここが本記事のメインテーマです。
「Se vende(受け身)」と非常によく似た形に、無人称構文があります。

この2つを見分ける最大のポイントは「対象が人間かどうか」です。

ルール:特定の人間が対象になると「無人称」になる

スペイン語の文法ルールとして、Seを使った受け身の構文では、人間を主語に立てることができません。

人間を対象にする場合(人を雇う、人を探すなど)は、対象の人の前に前置詞 a を置き、動詞は常に「3人称単数」で固定されます。これを文法用語で「無人称」と分類します。

実例:グアテマラの通りで見かける「Se busca」

私がグアテマラシティに滞在していた2012年頃、ある通りに入ると壁一面に人の顔写真が印刷された紙が貼られている光景を目にしました。そこには大きくこう書かれていました。

SE BUSCA

これは「尋ね人(行方不明者や指名手配など)」の張り紙です。
もし「受け身」のルールを適用して「彼が探されている」と言おうとすると、文法的な整合性が取れなくなります。

そのため、特定の人を探す場合は以下のような「無人称」の形をとります。

Se busca a esta persona.
直訳:(誰かが)この人を探している
意訳:この人を探しています

ポイント:
対象が「a 〇〇」となるため、文法上の主語が存在しなくなり、動詞は単数形(busca)で固定されます。たとえ探している人が複数人(写真が複数枚)であっても、文法構造としては Se busca a…(単数)が使われるのが一般的です。

「受け身」と「無人称」の見分け方まとめ

ややこしい理屈抜きに、形で見分けるなら以下の通りです。

  • モノが後ろに来る = 受け身
    動詞は単数・複数に変化する。
    Se vende pan. / Se venden flores.
  • 「a + 人」が後ろに来る = 無人称
    動詞は常に単数(3人称単数)のみ。
    Se busca a Juan. / Se castiga a los criminales.(犯罪者たちは罰せられる)

¿Cómo se va…?, ¿Cómo se escribe…? などの旅行やスペイン語留学などに便利な無人称フレーズはこちらの記事を参考にしてください。

もう一つの受け身「Ser + 過去分詞」との使い分け

学校の授業では、受け身として Ser + 過去分詞(例:El pan es vendido por Juan)も習います。

しかし、ラテンアメリカの日常会話において、こちらの形式が使われることは限定的です。使い分けの目安は以下の通りです。

表現形式使われる場面特徴
Se + 動詞
(Se vende…)
日常会話、看板、広告行為者(誰が)は重要ではない。
「そういう状態になっている」ことに焦点。
Ser + 過去分詞
(Fue escrito…)
ニュース、歴史記述、硬い文章行為者(por 〇〇)を明示したい場合や、
事実を客観的に伝える硬いニュアンス。

例えば「この教会は1800年に建てられた」と言う場合:

日常会話(Se受け身):

Se construyó esta iglesia en 1800.
直訳:この教会は1800年に建てられた
意訳:この教会は1800年に建てられました

歴史の教科書(Ser受け身):

Esta iglesia fue construida en 1800.
直訳:この教会は1800年に建設された
意訳:当教会は1800年に建立されました

ラテンアメリカの街で見かける「Se」の張り紙・表現集

最後に、中南米を旅行・生活するなら覚えておきたい、実用的な「Se」の表現を紹介します。これらは主語(モノ)の数によって動詞が変化することに注目してください。

Se alquila / Se arrienda(貸家・貸部屋)

国によって動詞の好みが分かれますが、どちらも「貸します」の意味です。

Se alquila habitación.
直訳:部屋が貸し出されている
意訳:部屋貸します

Se necesita(求む・募集)

従業員募集の張り紙でよく見ます。

Se necesita personal.
直訳:人員が必要とされている
意訳:従業員募集(personalは集合名詞なので単数扱い)

Se necesitan meseros.
直訳:ウェイターたちが必要とされている
意訳:ウェイター(複数)募集

※「特定の人(Juan)」ではなく「職業としてのウェイター」なので、ここでは受け身(複数形)として扱われることが一般的です。

Se hacen…(~します/サービス提供)

個人の修理屋さんや運送屋さんなどがよく掲げています。

Se hacen fletes.
直訳:運送がなされる
意訳:引っ越し・運送やります

Se arreglan relojes.
直訳:時計たちが修理される
意訳:時計修理します

まとめ

スペイン語の「Se」を使った受け身は、難しく考えすぎず、まずは街中の看板を読む感覚で慣れていくのがおすすめです。

  • モノが主語なら、動詞を合わせて変化させる(Se vende / Se venden)。
  • 特定の人が対象なら、動詞は単数固定で「a」を入れる(Se busca a…)。

この2つのルールさえ覚えておけば、ラテンアメリカの街角で目にするスペイン語が、よりクリアに理解できるようになるはずです。

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