スペイン語の「過去分詞(Participio pasado)」は、完了形の文章を作るためだけの要素ではありません。
実は、形容詞として名詞を修飾したり、状態を表したりと、日常会話のあらゆる場面で登場する非常に重要な文法項目です。特にラテンアメリカのスペイン語では、独自の便利な使い回しも存在します。
この記事では、過去分詞の作り方(規則・不規則)の覚え方から、実践的な4つの用法までを体系的に解説します。
スペイン語の過去分詞とは?(作り方の基本)
過去分詞は動詞が変化した形の一つです。基本的には、動詞の原形(不定詞)の語尾を変化させて作ります。
規則変化の活用ルール
規則変化動詞の場合、ルールは非常にシンプルです。-ar動詞は「-ado」、-er/-ir動詞は「-ido」に変化します。
| 動詞タイプ | 語尾の変化 | 例(原形 → 過去分詞) |
|---|---|---|
| -ar動詞 | -ado | hablar → hablado(話した) |
| -er動詞 | -ido | comer → comido(食べた) |
| -ir動詞 | vivir → vivido(生きた・住んだ) |
規則変化だがアクセント記号が付くもの
規則変化(-ido)のルールに従いますが、発音の強勢を維持するために「i」にアクセント記号(í)が必要な動詞があります。これらは語根の最後が母音(a, e, o)で終わる動詞に多く見られます。
| caer(落ちる) | caído |
| creer(信じる) | creído |
| leer(読む) | leído |
| oír(聞く) | oído |
| traer(持ってくる) | traído |
| reír(笑う) | reído |
【一覧】過去分詞の不規則変化パターン
学習者が最初につまずきやすいのが「不規則変化」です。しかし、バラバラに覚えるのではなく、語尾の音でグループ分けすると効率的に暗記できます。
主に「-to」「-cho」「-so」で終わる3つのパターンがあります。
1. 語尾が「-to」になる動詞
最も数が多いグループです。「r」が「rt」や「st」などに変化する傾向があります。
| abrir(開ける) | abierto |
| cubrir(覆う) | cubierto |
| descubrir(発見する) | descubierto |
| escribir(書く) | escrito |
| describir(描写する) | descrito |
| morir(死ぬ) | muerto |
| poner(置く) | puesto |
| romper(壊す) | roto |
| ver(見る) | visto |
| volver(戻る) | vuelto |
| devolver(返す) | devuelto |
2. 語尾が「-cho」になる動詞
日常会話で非常によく使う重要な動詞が含まれます。
| decir(言う) | dicho |
| hacer(する・作る) | hecho |
| satisfacer(満足させる) | satisfecho |
3. 語尾が「-so」になる動詞
数は少ないですが、以下の動詞が代表的です。
| imprimir(印刷する) | impreso |
※imprimir は「imprimido」という規則形も存在しますが、形容詞的に使う場合は「impreso」が一般的です。
過去分詞の重要な4つの用法
過去分詞を覚えたら、実際にどのように文中で使われるかを見ていきましょう。大きく分けて4つの用法があります。
完了形以外で使う場合、過去分詞は形容詞と同じ扱いになるため、「主語や修飾する名詞の性・数」に合わせて語尾変化(-o, -a, -os, -as)させる必要があります。
1. 完了形の文章をつくる(Haber + 過去分詞)
助動詞 haber と組み合わせることで、「~したことがある」「~してしまった」という完了の意味を表します。この場合、過去分詞は常に語尾が「-o」のまま変化しません。
Hoy lo he pasado muy bien.
直訳:今日、私はそれをとても良く過ごした。
意訳:今日はとても楽しかったです。
Todavía no he comido carne de alpaca.
直訳:いまだに私はアルパカの肉を食べたことがない。
意訳:まだアルパカの肉を食べたことがありません。
Cuando llegaron al aeropuerto, el avión ya había aterrizado.
直訳:彼らが空港に着いた時、飛行機はすでに着陸していた。
意訳:空港に着いた時には、すでに飛行機は着陸していました。
2. 形容詞として名詞を修飾する
過去分詞は形容詞として、名詞の状態を説明することができます。名詞の性・数に一致させます。
Es un hombre malhumorado.
直訳:それは一人の機嫌を損ねられた男だ。
意訳:彼は不機嫌な男性です。
La mayoría de las casas construidas en esa época eran de madera.
直訳:その時代に建てられた家の大多数は木製だった。
意訳:当時建てられた家の多くは木造でした。
3. 動作の結果・状態を表す(Estar + 過去分詞)
動詞 Estar と組み合わせることで、「(動作が行われて)~という状態になっている」という結果の状態を表します。
Las casas están pintadas de muchos colores.
直訳:家々は多くの色で塗られた状態にある。
意訳:家々がカラフルに塗られています。
La tienda está cerrada hoy.
直訳:店は今日、閉められた状態だ。
意訳:今日、お店は閉まっています。
4. 受動態をつくる(Ser + 過去分詞 + por)
「~によって…される」という受け身の文を作ります。行為の主体(~によって)を示すには前置詞 por を用います。日常会話よりも、ニュースや書き言葉で多く使われます。
Estos edificios son destruidos por ellos.
直訳:これらの建物は彼らによって破壊される。
意訳:これらの建物は彼らによって解体されます。
La carta es escrita por el abogado.
直訳:その手紙は弁護士によって書かれる。
意訳:その書類は弁護士によって作成されます。
2つの過去分詞を持つ動詞(二重分詞)
一部の動詞には、規則変化(-ado/-ido)と不規則変化の2種類の過去分詞が存在するものがあります。
一般的に、「完了形(Haberの後)」では規則形が使われ、「形容詞的用法」では不規則形が使われる傾向があります。
| 動詞の意味 | 過去分詞 | |
|---|---|---|
| 完了形(規則) | 形容詞的(不規則) | |
| freír(揚げる) | freído | frito |
| imprimir(印刷する) | imprimido | impreso |
| despertar(起こす) | despertado | despierto |
| soltar(放す) | soltado | suelto |
※ただし、ラテンアメリカやスペインの一部地域では、完了形であっても不規則形(例:Han frito las papas)が使われることもあり、厳密な境界線は薄れつつあります。
ラテンアメリカでよく使う「過去分詞」の応用表現
教科書的な用法に加え、中南米での生活で頻繁に耳にする、過去分詞を使った便利な表現を紹介します。
Recién + 過去分詞(~したばかり)
「たった今~したところだ」「~したて」と言いたい時、副詞 Recién を過去分詞の前に置きます。
El pan está recién horneado.
直訳:パンは直近にオーブンで焼かれた状態だ。
意訳:焼きたてのパンです。
Ella es recién llegada.
直訳:彼女は直近に到着した人だ。
意訳:彼女は到着したばかりです。
Tener / Llevar + 過去分詞(~してある、~し終えている)
完了形(Haber + 過去分詞)と似ていますが、「(結果として)~という状態を持っている」というニュアンスを強調する表現です。
Tengo escritos veinte folios.
直訳:私は書かれた状態のレポート20枚を持っている。
意訳:レポートを(すでに)20枚書いてあります。
Ya tengo comprados los boletos.
直訳:もう私は買われた状態のチケットを持っている。
意訳:もうチケットは買ってあります。
Llevo leídas cinco páginas.
直訳:私は5ページ読まれた状態を維持している。
意訳:(今の時点で)5ページ読み終えています。
まとめ
スペイン語の過去分詞について解説しました。
- 規則変化は -ado / -ido
- 不規則変化は -to / -cho / -so のグループで覚える
- 主な用法は「完了形」「形容詞」「状態」「受動態」の4つ
- 形容詞的に使う場合は、性数一致(-o/a/os/as)を忘れない
不規則活用は最初は複雑に感じるかもしれませんが、日常会話で多用される動詞(ver, hacer, decirなど)ばかりですので、使っているうちに自然と身についていきます。まずはよく使う動詞から少しずつ覚えていきましょう。

