【スペイン語】hayとestarの違いは?意味・ルール・使い分けを完全解説

hayとestarの違いは? スペイン語の文法
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どちらかというとラテンアメリカのスペイン語です。初級者による記録のため誤解があるかもしれません。ご理解くださいませ。

スペイン語を学習し始めると、早い段階で登場するのが「~がある」「~がいる」という表現です。

日本語ではどちらも「ある・いる」と訳せますが、スペイン語では hay(アイ)estar(エスタール) という2つの動詞を使い分ける必要があります。この使い分けに悩む学習者の方は非常に多いです。

簡単に言うと、以下の違いがあります。

  • hay:人や物の「存在」を表す(未知のもの・不特定のもの)
  • estar:人や物の「所在」を表す(既知のもの・特定のもの)

この記事では、人や物の「存在」を表す hay の基本的なルールと、estar との決定的な違いについて、具体的なシチュエーションを交えて詳しく解説します。

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1. スペイン語の hay(アイ)とは?基本的な意味

hay(アイ) は、スペイン語で「~がある」「~がいる」と、人や物の存在そのものを表すときに使われる言葉です。

文法的には、動詞 haber(アベール)の直説法現在形・3人称単数の活用形のひとつです。少し特殊な動詞ですので、まずは形を確認しましょう。

動詞 haber の直説法現在形の活用

主語活用
yohe
tú / voshas
él / ella / ustedha / hay
nosotros / nosotrashemos
vosotros / vosotrashabéis
ellos / ellas / ustedeshan

表にある通り、3人称単数形には「ha」と「hay」の2種類が存在します。

  • ha: 完了形などの助動詞として使う場合
  • hay: 「~がある」という存在を表す場合

「~がある・いる」という意味で使う場合は、必ず hay を使用するのがルールです。

2. hay を使うときに注意すべき2つのルール

hay を正しく使いこなすためには、以下の2つの重要なルールを理解しておく必要があります。ここが estar との最大の違いを生むポイントです。

① 常に単数形の hay を使う(複数形はない)

hay は「主語が存在しない(非人称)」動詞として扱われます。そのため、後ろに来る名詞(存在しているもの)が単数であっても複数であっても、形は常に hay のままで、変化しません。

「家(casa)」を例に見てみましょう。

Aquí hay una casa.
直訳:ここに、1軒の家が存在する。
意訳:ここには家が1軒あります。

Aquí hay unas casas.
直訳:ここに、数軒の家が存在する。
意訳:ここには家が数軒あります。

このように、後ろの名詞が unas casas(複数の家)になっても、動詞は hay のままでOKです。

② 定冠詞や所有形容詞と一緒に使えない

これが最も重要なルールです。hay の後ろに来る名詞には、「特定のもの」を表す言葉をつけることができません。

  • OK(使える言葉):
    • 不定冠詞(un, una, unos, unas)
    • 数量を表す言葉(mucho, poco, uno, dos, tres…)
    • 無冠詞(何もつけない)
  • NG(使えない言葉):
    • 定冠詞(el, la, los, las)
    • 所有形容詞(mi, tu, su… / 私の、君の、など)
    • 固有名詞(人の名前や特定の建物名など)

hay は、聞き手にとって「新情報(未知のもの)」の存在を伝えるときに使います。「このあたりに(不特定の)車があるよ」とは言えますが、「このあたりに(私の)車があるよ」とは言えません。

3. 実践!hay と estar の使い分け(空港編)

では、具体的なシチュエーションで hay と estar の違いを見ていきましょう。

あなたは初めて訪れるペルーのリマ空港に到着しました。現地通貨が必要ですが、どこで両替できるかわかりません。空港内に両替所があるかどうかも不明です。

ステップ1:存在を確認する(hay)

まずは「そもそも空港内に両替所があるのか?」という存在を確認する必要があります。特定の店ではなく、「両替所というもの」があるかを聞くため、hay を使います。

¿Hay una casa de cambio en este aeropuerto?
直訳:この空港に、ある両替所は存在しますか?
意訳:この空港に両替所はありますか?

※複数形の名詞について聞く場合、日常会話では冠詞(unos/unas)を省略して「無冠詞」で聞くことが自然です。

¿Hay cajeros automáticos por aquí?
直訳:この辺りに、ATM(複数)は存在しますか?
意訳:この辺にATMはありますか?

ステップ2:所在を確認する(estar)

「はい、ありますよ(Sí, hay.)」と返事をもらいました。これで「両替所」が、あなたと話し手の間で「今話題に上がった、そこに存在している特定のもの」として認識されました。

次は、その場所(所在)を聞く番です。特定のものの場所を聞くため、定冠詞(la)をつけて estar を使います。

¿Dónde está la casa de cambio?
直訳:その両替所は、どこに位置していますか?
意訳:(その)両替所はどこにありますか?

答える人も、特定の場所を指して答えます。

La casa de cambio está cerca de la puerta 7.
直訳:その両替所は、7番ゲートの近くに位置しています。
意訳:両替所なら7番ゲートの近くにありますよ。

4. 応用:「どこにありますか?」のニュアンスの違い

場所を尋ねるとき、「¿Dónde hay…?」と「¿Dónde está…?」のどちらを使えばいいか迷うことがあります。状況によって使い分けましょう。

① ¿Dónde hay un cajero automático?

意味:ATMはどこにありますか?(最寄りのATMを探している)

「この辺にATMなんてあるのかな?」という前提で、「どこでもいいから、1つ見つけたい」というニュアンスです。不特定のものを探しているため、不定冠詞(un)または無冠詞を使い、hay で聞きます。

② ¿Dónde está el cajero automático?

意味:ATMはどこですか?(特定のATMを探している)

「空港なんだからATMがあって当然だ」「さっき地図で見たATMはどこだ?」のように、存在する前提で、その場所をピンポイントで聞くニュアンスです。定冠詞(el)を使い、estar で聞きます。

まとめ

今回は、スペイン語の hay と estar の違いについて解説しました。

項目違い・特徴
意味hay:存在(~がある・いる)
estar:所在(~にある・いる)
続く言葉hay:不定冠詞 (un)・無冠詞・数字
estar:定冠詞 (el)・所有形容詞
イメージhay:「未知」のもの・新情報
estar:「既知」のもの・特定のもの

「トイレはありますか?(¿Hay un baño?)」と「トイレはどこですか?(¿Dónde está el baño?)」は、どちらも旅行で必須のフレーズですが、文法的な背景にはこのような違いがあります。

まずは「新しい話題や、あるかどうかわからないものには hay を使う」という感覚を掴んで、実際の会話で使ってみてください。

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