スペイン語の動詞 sentir は、「感じる」「残念に思う」という意味を持つ基本動詞ですが、文脈によって「察知する」や「(音が)聞こえる」といった意味でも使われます。
学習者が最初につまずきやすいのは、以下の2点です。
- 複雑な語幹母音変化(e ⇒ ie, e ⇒ i)
- 再帰動詞 sentirse との使い分け
この記事では、sentir のすべての活用パターンを網羅した表と、ネイティブが自然に使う表現やニュアンスの違いを解説します。
スペイン語動詞 sentir の活用
sentir は語幹母音変化動詞です。時制や人称によって、語幹の e が ie または i に変化します。
- e ⇒ ie:直説法現在、接続法現在、命令法の一部
- e ⇒ i:点過去(3人称)、現在分詞、接続法現在(1・2人称複数)、接続法過去など
分詞(現在分詞・過去分詞)
現在分詞では語幹の e が i に変化(sintiendo)するため注意が必要です。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| 現在分詞 | sintiendo |
| 過去分詞 | sentido |
直説法現在形の活用
1人称単数と3人称、2人称単数(tú)で e ⇒ ie の変化が起こります。nosotros と vosotros は規則変化です。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | siento |
| tú / vos | sientes / sentís |
| él / ella / usted | siente |
| nosotros / nosotras | sentimos |
| vosotros / vosotras | sentís |
| ellos / ellas / ustedes | sienten |
直説法点過去形の活用
3人称単数(él/ella/usted)と3人称複数(ellos/ellas/ustedes)でのみ、語幹が e ⇒ i に変化します。これが点過去における -ir 動詞の母音変化の特徴です。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | sentí |
| tú | sentiste |
| él / ella / usted | sintió |
| nosotros / nosotras | sentimos |
| vosotros / vosotras | sentisteis |
| ellos / ellas / ustedes | sintieron |
直説法線過去形の活用
線過去形はすべての語尾が規則変化です。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | sentía |
| tú | sentías |
| él / ella / usted | sentía |
| nosotros / nosotras | sentíamos |
| vosotros / vosotras | sentíais |
| ellos / ellas / ustedes | sentían |
直説法未来形の活用
未来形は不定詞(sentir)の後ろに語尾をつける規則変化です。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | sentiré |
| tú | sentirás |
| él / ella / usted | sentirá |
| nosotros / nosotras | sentiremos |
| vosotros / vosotras | sentiréis |
| ellos / ellas / ustedes | sentirán |
可能法(過去未来)の活用
可能法も規則変化です。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | sentiría |
| tú | sentirías |
| él / ella / usted | sentiría |
| nosotros / nosotras | sentiríamos |
| vosotros / vosotras | sentiríais |
| ellos / ellas / ustedes | sentirían |
命令法の活用
肯定命令の tú は直説法現在形(3人称単数)と同じ形(siente)、vos はアクセント位置が後ろになります(sentí)。否定命令はすべて接続法現在の活用を使います。
| 主語 | 肯定命令 | 否定命令 |
|---|---|---|
| tú | siente | no sientas |
| vos | sentí | no sintás |
| usted | sienta | no sienta |
| nosotros | sintamos | no sintamos |
| vosotros | sentid | no sintáis |
| ustedes | sientan | no sientan |
接続法現在形の活用
-ir 動詞の母音変化動詞であるため、nosotros と vosotros では e ⇒ i (sintamos, sintáis)となり、それ以外では e ⇒ ie に変化するという複雑な活用をします。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | sienta |
| tú / vos | sientas / sintás |
| él / ella / usted | sienta |
| nosotros / nosotras | sintamos |
| vosotros / vosotras | sintáis |
| ellos / ellas / ustedes | sientan |
接続法過去形(ra形)の活用
すべての活用で語幹が e ⇒ i に変化します。
| 主語 | 活用 |
|---|---|
| yo | sintiera |
| tú | sintieras |
| él / ella / usted | sintiera |
| nosotros / nosotras | sintiéramos |
| vosotros / vosotras | sintierais |
| ellos / ellas / ustedes | sintieran |
動詞 sentir の基本的な意味と使い方
sentir は主に4つのパターンで使われます。それぞれのニュアンスと構文の違いを見ていきましょう。
1. 感覚・知覚する(感じる、聞こえる)
「寒さ」「痛み」「振動」などを五感で感じる場合に使います。
Sentimos mucho frío anoche.
直訳:昨晩、私たちは多くの寒さを感じた。
意訳:昨日の夜はとても寒かった。
He sentido el corazón latir muy rápido.
直訳:私は心臓がとても速く脈打つのを感じた。
意訳:心臓がドキドキするのを感じました。
また、ラテンアメリカの多くの地域(特に中米やコロンビアなど)では、「(物音が)聞こえる」「(匂いが)する」という意味で、oír や oler の代わりに sentir を使うことがよくあります。
No sentí el despertador esta mañana.
直訳:今朝、目覚まし時計を感じなかった。
意訳:今朝は目覚まし時計の音に気づかなかった(聞こえなかった)。
2. 感情を抱く(〜と感じる)
名詞を目的語にとり、喜びや悲しみ、怒りなどの感情を覚えることを表します。
Él sentirá enojo si se entera del accidente.
直訳:彼はその事故について知ったら怒りを感じるだろう。
意訳:その事故のことを知ったら、彼は腹を立てるだろう。
3. 察知する、予感する(Sentir que + 直説法)
「〜という気がする」「〜のように感じる」と予感や漠然とした認識を伝える場合、後ろに続く従属節(que以下の文)には直説法を使います。
Siento que ellos no llegarán a tiempo.
直訳:彼らが時間通りに到着しないことを予感する。
意訳:彼らは時間どおりに着かないような気がする。
Siento que ocurrirá algo malo.
直訳:何か悪いことが起こることを予感する。
意訳:何か悪いことが起こりそうな予感がする。
4. 残念に思う・謝罪する(Sentir que + 接続法)
「申し訳ない」「残念だ」という感情を表す場合、従属節(que以下の文)の内容は事実であっても主観的な評価の対象となるため、接続法を使います。
Siento mucho que te vayas.
直訳:君が行ってしまうことを、私はとても残念に感じる。
意訳:君が行ってしまうなんてとても寂しい。
Siento que ellos no lleguen a tiempo.
直訳:彼らが時間通りに到着しないことを残念に思う。
意訳:彼らが時間に間に合わないのは残念だ。
※「3. 予感する」の例文と比較してください。que の後ろが直説法(llegarán)なら「予感」、接続法(lleguen)なら「遺憾・残念」という意味になります。
謝罪とお悔やみ
日常会話では、シンプルに謝罪の言葉としても使われます。
Lo siento mucho.
直訳:私はそれをとても残念に思う。
意訳:本当にごめんなさい / お悔やみ申し上げます。
誰かが亡くなった際のお悔やみ(condolencia)の言葉としても使われます。
Mi más sentido pésame.
意訳:心よりお悔やみ申し上げます。
【重要】sentir と sentirse の違い
学習者が最も混同しやすいのが、他動詞の sentir と再帰動詞の sentirse です。
再帰動詞 sentirse は「自分の状態」を表す
sentirse は「自分自身を〜と感じる」、つまり自分の体調や気分を表すときに使います。形容詞や副詞を伴うのが一般的です。
¿Cómo te sientes hoy?
直訳:今日、君は自分をどう感じる?
意訳:今日の気分(体調)はどう?
Todavía me siento una niña.
直訳:まだ私は自分自身を子供だと感じている。
意訳:気分はまだ子供のままですよ。
「Estoy feliz」と「Me siento feliz」のニュアンスの違い
「私は幸せです」と言いたいとき、Estar動詞を使った Estoy feliz と、再帰動詞を使った Me siento feliz はどちらも正解ですが、伝わるニュアンスが異なります。
- Estoy feliz (Estar + 形容詞)
「私は幸せな状態にある」という客観的な事実やステータスを伝えます。 - Me siento feliz (Sentirse + 形容詞)
「私は幸せだと(心から)感じている」という主観的な実感や内面的な体験を強調します。
ラテンアメリカ、特にカリブ海沿岸(ドミニカ共和国やコロンビアのカリブ側など)や中米の文化では、自分の感情をよりエモーショナルに相手に伝えるため、単なる Estar よりも Me siento… を好んで使う傾向があります。
Hoy me siento con mucha energía.
直訳:今日、私は多くのエネルギーと共に自分を感じる。
意訳:今日はすごくエネルギーに満ちあふれている気分だ。
間違いやすいポイント
「気分がいい」と言うつもりで再帰代名詞(me)を忘れてしまうミスがよくあります。
- × Siento bien.(私は「善」を感じる? → 意味が通じにくい)
- ○ Me siento bien.(私は気分がいい / 体調がいい)
自分の体調や気分を話すときは、必ず me, te, se, nos などの再帰代名詞をセットにしましょう。
まとめ
スペイン語の動詞 sentir は、活用の不規則さと意味の幅広さが特徴です。
活用のポイント(語幹母音変化)
- e ⇒ i:現在分詞、点過去(3人称)、接続法全般
- e ⇒ ie:直説法現在(1,2,3人称単数・3人称複数)、命令法
意味のポイント
- Sentir + 名詞:〜を感じる、察知する(五感・感情)
- Sentir que + 直説法:〜という気がする(予感)
- Sentir que + 接続法:〜なのが残念だ(遺憾)
- Sentirse + 形容詞:〜という気分だ、体調だ(自分の状態)
特にラテンアメリカでは、sentir を「聞こえる」の意味で使ったり、sentirse を使って感情を豊かに表現したりする場面によく出会います。ぜひ実際の会話で使い分けてみてください。

